人とつながっているのに、孤独感を抱くときは何をすればいいか。評論家の荻上チキさんは「多くの友人の悩み相談に親身に対応してきた私のよく知る男性は、ことあるごとに、周囲に『何かあったら頼って』と言っていた。すると、ただの雑談や気晴らしに誘われ、会いに行ったりするなかでも、『実は悩みごとがあって』と頼られる役割が確立した」という――。
※本稿は、荻上チキ『孤独をほぐす』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
他者を助けずにはいられない人
「孤独は健康に悪い」と言われるようになり、人とのつながりの重要性が強調されるようになりました。しかし、孤独を避けるために自分を犠牲にしてまで他者の役に立たなければならないという考えにとらわれると、かえって精神的な負担が大きくなります。
孤独の問題というと、「人と関わることが苦手な人」が思い浮かびやすいかもしれませんが、「人を助けずにはいられない人」の問題も深刻なものです。
他者のために尽くしすぎることで自身の健康を損ねる状態を「スーパーヘルパー・シンドローム(Super-Helper Syndrome SHS)」と呼びます。ジェス・ベイカーとロッド・ヴィンセントの共著『「人のため」にばかり頑張ってきたあなたへ』(佐藤やえ訳、東洋館出版社、2024)では、SHSの特徴をまとめながら、そこで生じる困難や孤独が整理されています。
SHSの人は、他者を助けることに自己価値を見出し、自分のニーズを後回しにします。また、一方的な支援の関係を築いてしまうことも挙げられます。前者は支援疲れにつながり、後者は共依存につながります。
SHSの人は一見、社交的で他者と深く関わっているように見えます。共感性が高く、人を助け続けようと努力します。しかしその過度な援助は、孤独感の要因になります。「助けることで成り立つ関係」ばかりになっている場合、本人の困りごとが周囲に気づかれにくい形で進行します。

