無意識のうちに築く「市場価格関係」
どれがよい関係で、どれが悪い関係というわけではありませんが、この視点は目指している関係と実際の関係の差異に気づかせてくれます。SHSの人は、他者を助けることで自分の価値を感じ、関係を維持しようとします。
主観的には共同分配と思っていても、実際には「誰かを助けるという価値を差し出さなければいけない」と信じ、その対価として居場所や関係を得ようとする。無意識のうちに、市場価格関係を築こうとしていると言えます。
また、SHSの人は「助ける側」であり続けることにこだわり、自分が助けられる側に回ることを避ける傾向があります。これは、上下関係が固定化する権威序列関係に似ています。支援者として優位に立つこともあれば、「支援してくれる人を、上手に見抜く人」に都合よく利用され続けることもあります。
関係のアンバランスさを調整するために、互いに支え合う平等調和関係や、何かを分け合いながら共に過ごす共同分配関係について考えることも有用です。
「関わる」と「助ける」は違う
もちろん、利他的な行動は非常に価値あるものです。他者を支援することは、社会にとっても有益です。でも「他者を助けること」だけを美徳とする関わり方では、癒やしとしての友情を得ることは難しくなります。
「人と関わること」と「人を助けること」は、似ているようで違います。人とつながるためには、必ずしも他者を助ける必要はなく、他者に有用であることを証明し続けなくてはいけないわけでもありません。
SHSの感覚にピンと来ない人は、SHSの人を「つながり下手」と思うかもしれません。でもここで大事なのは、「つながり下手」にはいろいろなパターンがあることです。
社交が得意そうに見える人にも、その人の癖や孤独がある。あなたにも私にも、きっとそれぞれの「つながり下手」があると思います。
先ほど紹介したSHSの男性は、この概念と出合ってから、「助けることを減らす」という実践を始めました。そのことでどうなったか。
「助ける」以外の仕方で、それぞれの友人とつながり直したのです。何が「つながり下手」の肝になるのか。その気づきから始まる「つながり直し」もあるのでしょう。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


