学校の校則は子供にどんな影響を与えているか。評論家の荻上チキさんは「校則の一つひとつを見ていくと、根拠がないものばかりだ。おかしな校則まみれの教室は、子供の『ひとりになる権利』を奪い、『付き合う相手を選ぶ権利』も奪い、疎外感や孤独感を強めていく」という――。

※本稿は、荻上チキ『孤独をほぐす』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

女子高校生の後ろ姿
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

驚くほど座面が硬い高校の椅子

仕事や私用(保護者として)で、学校に行く機会があります。先日、ある高校に行き、生徒用の椅子に一時間ほど座っていました。木をスチールでつなぐ、おそらく日本の学校で最もよく使われているタイプのものです。

久しぶりに座り、なんて硬い椅子なんだと驚きました。その日はとても寒く、椅子の冷たさがどんどん体温を奪っていきました。座面の硬さが、時間と共に痛みや疲労を与えてきます。正直、自分がこんな椅子に12年間座り続けて授業を受けていたことに、驚きを覚えます。

足元を見ると、かぎかっこの形をしたシールが貼ってあります。「椅子と机の位置をここに揃えなさい」というマークです。私が子どものころにも、こんなマークは用いられていました。机が揃っていることがよい教室であるように指導されました。

学校には、「学校でしか通じないルール」なのに、「これが守れなかったら大人になってから困るぞ」と脅す風習があります。管理側にとってのみ便利なルールを、「あなたたちのため」と言い換えて押し付けるのです。その代表が、「揃うこと」です。

集団秩序の一部となり、そこから逸脱しないこと。騒がず、整然とし、周囲になじむこと。それこそが成長目標なのだと教えることは、生き方のバリエーションを狭めることになります。