国税庁の調査によると、酒類の販売(消費)数量は年々減少傾向にある。明治大学ビジネススクールの白鳥和生教授は「居酒屋に行かない人=お酒を飲まない人ではない。いまの日本では『大きく飲む』から『小さく飲む』という動きがある」という――。

なぜ今、昔ながらの「角打ち」が新設されているのか

千葉県習志野市に2026年3月、「イオンリカー津田沼South」がオープンした。ワインやウイスキー、日本酒などをそろえる酒販店だが、商品を棚から選んで買うだけの店ではない。店内には、その場で酒を楽しめる「角打ち」がある。

イオンリカーが展開する「角打ち」
筆者撮影
イオンリカーが展開する「角打ち」

興味深いのは客層だ。同店によると、角打ちを利用する客の約7割を女性が占める。午前中にはシニアや女性、夕方には買い物途中の女性グループ、夜になると帰宅途中の客や大学生が立ち寄る。滞在時間も長くて1時間程度だという。

角打ちと聞くと、酒屋の一角で仕事帰りの男性が立ったまま日本酒やビールを飲み、乾き物や缶詰をつまむ光景を思い浮かべる人も多いだろう。イオンリカーに現れた角打ちは、そうしたイメージとはかなり違う。

イオンリカー津田沼Southは「話す・試す・学ぶ・買う」を掲げ、ソムリエによる接客、有料試飲、セミナーやイベントも組み合わせた。開業後の取材時にはワインを1杯300円から提供していた。飲んで味を確かめ、スタッフの説明を聞き、気に入ったら商品を買って帰る。

昔からある角打ちを、そのまま復活させたわけではない。酒を買う売り場に「飲む」という体験を加え、来店する理由を増やしている。

こうした動きは酒販店にとどまらない。百貨店や商業施設にも角打ちが入り始めた。酒類市場が縮小し、若者の「酒離れ」も指摘されるなかで、なぜ今、角打ちなのか。そこには酒の飲み方をめぐる変化が表れている。