突如名前が挙がった北陸のアルピス
食品スーパーの再編が、新しい段階に入った。ライフコーポレーションは9月8日、北陸を地盤とする食品スーパー、アルビスへのTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。アルビスを連結子会社化する方針で、ライフにとって同業スーパーの買収は初めてとなる。
一見すると、大手スーパーが地方スーパーを傘下に収める、よくある業界再編に見える。しかし、今回のM&Aは少し違う。ライフの主力商勢圏は首都圏と近畿圏である。一方のアルビスは富山県を中心とする北陸が地盤で、すでに愛知県、岐阜県にも進出している。
しかも今回の買収によって、ライフとアルビスの売上高は単純合算で約9800億円となる。食品スーパーの「1兆円競争」という点でも象徴的な案件だ。
両社の店舗網はほとんど重ならない。これまで食品スーパーの出店やM&Aでは、既存の商勢圏を隣接地域へ広げていく考え方が基本だった。ところが今、大手スーパーは「隣」を取りに行くのではなく、商勢圏を飛び越えて、その地域ですでに強い企業を取り込もうとしている。
スーパーはなぜ「隣」に出店してきたのか
食品スーパーの成長戦略を理解するキーワードが「ドミナント」だ。一つの地域に店舗を集中させることで、物流効率を高める。チラシやテレビCMなどの広告効率も上がる。店長や従業員の応援、人員配置もしやすい。
特に生鮮食品を扱うスーパーでは、物流センターから店舗までの距離が重要だ。そのため従来は、1店舗を出したら、その周囲へ2店舗目、3店舗目を出す。店舗網を点ではなく面にしていくことが成長の王道だった。
M&Aでも同じである。既存の商勢圏と隣接するスーパーを買えば、物流や仕入れを統合しやすい。
だが今回のライフとアルビスには、その地理的な連続性がほとんどない。これは食品スーパーの成長戦略が、「商勢圏をつなぐ」発想から「強い企業をつなぐ」発想へ移り始めたことを意味している。


