大きないびき、寝ているのに眠い…
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に起こるため、自分では気づきにくい病気です。まずは、日頃の睡眠や日中の状態を振り返り、以下のようなサインがないか確認してみましょう。
・大きないびきを習慣的にかく
・家族や同居人から、いびきが大きい、または、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
・十分な睡眠時間を確保しているのに、日中の眠気や疲労感が強い
・会議、読書、運転中など、通常は眠らない場面で眠気が出る
・起床時に頭痛や口の渇きがある
・高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある
こうしたサインが複数当てはまる場合、呼吸器内科や睡眠呼吸障害専門の医療機関への受診をおすすめします。医療機関では、自宅でできる簡易検査や、一晩かけて睡眠状態を詳しく調べる精密検査(PSG検査)などを行い、睡眠中の呼吸状態を評価します。
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、重症度や原因に応じた治療法が選択されます。代表的な治療法には、CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)があります。これは、睡眠中に鼻に装着した専用のマスクから空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ治療法のことで、中等症から重症の患者さんを中心に広く用いられています。
CPAPによって睡眠中の呼吸状態が改善すると、日中の眠気が軽減するだけでなく、高血圧が改善することも報告されています。さらに、CPAP治療を受けた患者では、交通事故の発生率が約55%低下したという研究データもあります(Antonopoulos et al., 2011)。
また、軽症の場合や骨格的な要因が関係している場合には、マウスピースを用いて下あごを前方に固定し、気道を広げる治療法が選択されることもあります。
医療機関の受診が大切
こういった基本となる治療とあわせて、日常の生活習慣の改善に取り組むことも大切です。
日常生活での工夫
・横向きで寝る:仰向けで寝ると舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。抱き枕などを活用して横向きで寝る工夫も一つの方法です。
・就寝前の飲酒を控える:アルコールによって上気道の筋肉が緩むことで、睡眠中に気道が狭くなり、いびきや無呼吸を悪化させることがあります。
・適正体重の維持:首回りの脂肪を減らすことで気道閉塞の改善につながることがあります。
ただし、これらはあくまで治療を補助するものです。重要なのは、自己判断で様子を見たり生活改善だけに頼ったりせず、医療機関で正しい検査を受け、ご自分に合った適切な治療を受けることです。
日中の眠気や朝の疲労感を、「年齢のせい」や「仕事の忙しさ」で片づけてしまう人は少なくありません。しかし、その背景には睡眠中の呼吸の問題が隠れている可能性があります。
十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず不調が続く場合は、睡眠の「時間」だけでなく「質」に目を向けることが大切です。
ご自身の睡眠状態を一度客観的に見つめ直すことが、長く高いパフォーマンスを発揮し続ける第一歩となるかもしれないのです。
※参考文献
・日本呼吸器学会.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.
・一般財団法人運輸・交通SAS 対策支援センター.睡眠時無呼吸症候群(SAS)について.
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