あごや舌の形、寝る姿勢も影響

睡眠時無呼吸症候群の発症には、いくつかのリスク因子が存在します。

まず代表的なのが、肥満です。最新のメタ解析によると、標準体重(BMI25未満)の人と比較して、過体重(25≤BMI<30)では約2.2倍、肥満(30≤BMI)では約4.8倍も睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性が高いことが示されています(Esmaeili et al., 2025)。

そのほかにも、首回りの太さやあご・舌の形、鼻づまり、加齢のほか、男性であることや女性の閉経後といった条件も発症に関係していると考えられています(Young et al., 2002)。また、飲酒量の増加が睡眠時無呼吸群のリスクを25%増加させることや、仰向けで寝る姿勢自体が気道を閉塞させやすくすることも報告されています(Simou et al., 2018;Landry et al., 2023)。

リビングで浮かない顔の男
写真=iStock.com/pain au chocolat
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本人が気づくのは難しい

しかし、こうしたリスク因子を抱えていても、本人が睡眠中の異変に気づくことは容易ではありません。実際、フランスで行われた2023年の調査では、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いと判定された人が18.1%存在した一方で、治療を受けていた人は3.5%にとどまっていたことが報告されました(Balagny et al., 2023)。

睡眠中の無呼吸そのものを自覚できないため、日中の眠気や疲労感があっても、「多忙による睡眠不足」「単なる疲れ」と片付けてしまいがちで、その結果、無治療のまま見過ごされているケースが多く存在するものと考えられます。

また、見過ごされがちな日中の眠気は、仕事のパフォーマンスを削ぐだけでなく、社会的な影響を及ぼす可能性もあります。日本人男性を対象とした研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者は、交通事故発生率が約2.4倍高く、海外の商用車運転者を対象とした調査でも、リスクが2.8倍にまで高まることがわかっています(Komada et al., 2009;Luzzi et al., 2022)。

だからこそ、家族やパートナーからの「いびきが激しい」「呼吸が止まっている」という指摘は、客観的に把握するための重要なサインとなります。一人暮らしの場合であっても、睡眠管理アプリや録音機能を活用し、自分の夜間の状態を客観的にチェックしてみることが早期発見への第一歩となるかもしれません。