全員集合の要を作る大道具の矜持

全員集合といえば、緻密に計算された大道具の豪快な仕掛けが番組の要だった。彼らにしてみれば、演出サイドの発注に基づいてセットを作り、前日夜から徹夜で建て込んでいるのに、なぜいつも当日に直しが入るのか? という不満もあったのだろう。

そんな時、大学出たてのお兄ちゃんが袖で休んでいるのを見て、これまでの不満が爆発したに違いない。またここでコイツに気合いをいれとかないと、現場がヌルくなる。他の美術スタッフに示しがつかないのだ。

しかしこんな事情がわかるのは、それからしばらくしてからだ。

怒鳴られた直後は、ひたすら自分の無力さを感じ、しゃがんだのは悪いがなんでセットのことで怒鳴られなきゃいけないの? という理不尽を飲み込んだ。そして、やっぱり眠かった。

舞台袖で見た「異様な光景」

そんな大道具さんたちの全く違う姿を見て、僕は仕事に対する姿勢を教わった。

無人のステージ
写真=iStock.com/deepblue4you
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生放送の15分前。ステージに長さんが登場し、自らドリフのメンバーやゲスト達を紹介しながら、お客さんをガンガン盛り上げていく。そしていよいよ本番。長さんの「8時だョ!」のかけ声で放送が始まる。ゲイスターズの演奏によるテーマ曲。おなじみ「エンヤーコラヤ、どっこいジャンジャンコーラヤ」という、北海盆唄の替え歌だ。

この歌のフリを覚えるのは全員集合ADの最初の一歩。なぜなら、代役カメリハの際、ボーヤ(バンドマンの付き人)やアシスタントと一緒にステージ上で歌い踊るからだ。もっとも、僕は子どもの頃にすでに覚えていたのだが。

ステージ上にドリフやゲストが勢揃いし、生バンドで繰り広げられるオープニングの、その華やかさと迫力に圧倒される。僕はブタカン先輩と一緒に、下手袖から緊張感と高揚感と共にそれを眺めている。このオープニングが終わるとすぐにCMで、その間に頭のメインコントへのセットチェンジをせねばならない。

その時、ステージ上の出演者越しに、ある種異様な光景を僕は見た。

ステージの上手袖で、大道具さん達が「エンヤーコラヤ! どっこいジャンジャンコーラヤ!」と踊っているのである。