厳しさを増すVPNの利用規制

さらに、不穏な動きとして、最近、中国ではVPN(仮想プライベートネットワーク)の利用が規制される動きもあるという。中国では海外のSNS、ニュースサイトなどの閲覧は以前から厳しく規制されており、海外の情報を得ようとする場合はVPNを使用するしかない。

有料と無料のVPNがあり、多くの人が利用しているが、中国に住む知人は有料のVPNでも「閲覧が以前より難しくなっている」と嘆いていた。従来も中国で政治的イベントなどが行われる場合などは一時的に閲覧が制限されることがあったが、そうした時間帯が増えているという話だ。

知人は「海外の情報=必ずしも有害な情報というわけではないのに、閲覧が制限されることに強いストレスを感じる中国人は多いと思います。物理的な出国を制限するだけでなく、情報面でも中国人に海外の情報をインプットさせない、海外に目を向けさせないという、まるで鎖国のような政府の方針に強い憤りを感じます」と話していた。

ささやかな望みすら叶わない国に

今回の規定の背景には、国内の技術流出を防ぐこと、富裕層の資金をこれ以上海外に持ち出させないこと、移民・移住・留学などの仲介業者を規制することなどがあると言われている。だが、一般人のささやかな楽しみである海外旅行まで規制する動きがあることに、市民の間からはため息が漏れている。

以前から中国人の団体旅行は政府の胸ひとつで停止と解禁が繰り返されてきたが、現在は、本来自由であるはずの個人旅行でさえ大手を振って行けないような雰囲気だ。むろん、現状は、多くの人がイミグレーションで止められるわけではなく、ほとんどの人は問題なく出国できるだろう。だが、別に悪いことをしていないのに、イミグレーションのカウンター前で極度に緊張してしまう人がいるということ自体、気の毒に感じる。

張さんのように「ただ日本の温泉にのんびりと浸かりたいだけ」という個人のささやかな望みさえ叶えられないことは、あまりにも理不尽だし、日本にとっても残念なことではないかと思わせられる。

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