平均聴力40デシベル以上は受診を
では、補聴器を使うタイミングはどう考えたらいいでしょうか。まず、定期的に聴力を確認してください。そして健診で難聴を指摘されたら、耳鼻咽喉科を受診しましょう。55歳を過ぎて平均聴力が40デシベル(静かな部屋の会話がやっと、というレベル)を超えると、本人が感じている以上に、会話や考える作業に影響が出てきます。この40という数字が、受診の目安です。
その後は、軽度難聴でも、年に一度は聴力を確認する必要があります。聞き返しが増えた、テレビの音量が上がった、騒がしい場所で言葉がわからない。そう感じたら、次の健診を待たずに耳鼻咽喉科を受診することも大切です。
補聴器の導入を考えるとき、安心して進められる順番があります。まず耳鼻咽喉科で、治せる病気が隠れていないかを診てもらいましょう。年齢相応に見える難聴のなかに、別の病気が隠れていることがあるからです。
よくあるのは耳垢が詰まる「耳垢栓塞」で、単に除去するだけで聞こえが戻ります。鼓膜の内側に滲出液がたまる「滲出性中耳炎」が原因ということもあり、これも治療可能です。片側だけの難聴や耳鳴りをきっかけに、脳腫瘍が見つかったケースもあります。年のせいと思い込まず、聞こえづらい場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
補聴器を買うときは店選びが重要
聴力そのものが低下している場合は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が公開している「補聴器相談医」に相談するのがおすすめです。全国に約5000人いて、学会のサイトで探せます。そこから認定補聴器技能者のいるお店につないでもらうと安心です。
お店選びの際には、①認定補聴器技能者がいるかだけでなく、②防音の部屋で聴力と補聴器の効き具合を測れるか、③試聴期間と購入後の調整が十分か、④耳鼻咽喉科と連携しているかを確認しましょう。
よく「補聴器をつけると音がキンキン鳴って耐えられない」という人がいます。それまで長く聞こえていなかった、食器の音、紙の音、自分の声などの高音が、最初はうるさく感じられるからです。ただ、この違和感は故障でも相性の悪さでもなく、脳が聴こえを取り戻している途中だというサイン。数日から数週間で軽くなるので、慣れるまで3カ月ほど様子をみてください。毎日なるべく長く使うこと、無理のない音量設定から始めて少しずつ上げていくのが、早く馴染むための近道です。
反対に音量を下げ続けると、「うるさいのに言葉はわからない補聴器」になってしまうので要注意。補聴器は買って終わりではなく、慣れるまで時間をかけ、専門家と一緒に調整を重ねて、自分の聴こえに合わせて育てていく道具なのです。

