トヨタのものづくりの原点がここに
この他に、愛知が誇るものづくりの歴史に思いを馳せるのも、犬山歴史観光の一つのあり方だろう。東芝を創業した田中久重は、江戸時代後期に作られた「機巧図彙」を元に、さまざまなからくり人形を復元した。その中でも「万年自鳴鐘」、通称「万年時計」は和時計の最高傑作と言われている。
明治維新後は東京・銀座に工場を設立。電信機などの製造を手がけた。トヨタグループの創始者、豊田佐吉もからくりの影響を受けている。豊田佐吉の最大の発明は縦糸や横糸が切断すると自動停止する安全機構などを備えた無停止杼換式豊田自動織機(G型自動織機)。これにより、機械を止めずに「杼」を交換できるようになり、機織りの生産性が大幅に向上した。
杼とは、縦糸の隙間に横糸を通す舟のような形をした道具で、その中に横糸を巻いた管が入っている。機織りの際に、何かを左右に滑るように投げ渡している動作を見たことがあるかもしれないが、要はあの時に投げている道具だ。従来は横糸がなくなると機械を止めて杼を交換していたが、豊田佐吉はそれを自動で行う機構を発明した。「あれは、まさにからくりだね」と9代目・玉屋庄兵衛さんも語る。
9代目によれば、トヨタグループの関係者が今も犬山からくりミュージアムに来るという。からくりの時代に比べれば、ものづくりの技術は進化しているが、からくりの機構と発想がものづくりの原点ということを忘れないためだろう。
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