手の「グーパー運動」は逆効果である

脳の健康維持や老化防止に、「ボールを握ったり、指をグーパーしたりするのが効果的」といわれることがあります。

確かに、指を動かすこと自体は脳の活性化によいのですが、現代人の私たち、特にデスクワークやスマホを多用する人にとっては、「強く握る運動」は逆効果になることが多いです。

なぜなら、私たちは日常生活ですでにいろいろなものを「握りすぎて」いるからです。スマホを握り、マウスを握り、つり革を握り、ストレスで手を握りしめ……。屈筋くっきん(曲げる筋肉)ばかりを使いすぎて、腕の内側が縮こまり、猫背を助長させてしまっています。

そんな状態でさらに筋トレのようにグーパー運動をしてしまえば、筋肉はより硬くなり、自律神経の緊張(交感神経)を煽ってしまいます。今、私に必要なのは「鍛える」ことではなく、「ゆるめる」「血流をめぐらせる」ことです。

脳がとろける「親指エッジ刺激」

そこで私が提案したいのが、道具もいらず、いつでもどこでもできる「親指エッジ刺激」です。ポイントは「絶対に強くやらないこと」。「マッサージ」というよりは、「脳への言号入力」に近い繊細なケアです。

女性の手
写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです

まず、左手の手のひらを出します。右手の親指の「爪の角(エッジ)」を使います。左手の親指の付け根(母指球)の盛り上がっている部分に、右手の親指の爪の角を当てます。

「グリグリ」と押し込むのではなく、皮膚の表面を「クリクリ」とやさしく刺します。強さは「痛気持ちいい」の手前、「あ、触れているな」と感じる程度で十分です。

場所を少しずつずらしながら、硬いところや、心地よいところを探して刺激していきます(反対の手も同様に行ないます)。たったこれだけです。

実は、手の指に向かう神経はすべて「首」からスタートしています。そのため、この親指の付け根をゆっくり丁寧にほぐしてあげると、指先の血流がよくなるだけでなく、神経の根本である「首の筋肉」の緊張までフワッと解けていくのです。

やってみるとわかりますが、親指の付け根が温かくなってくるだけでなく、不思議と頭がスッキリしたり、目の奥の疲れが抜けたりする感覚があるはずです。