不快の感情が強いほど扁桃体の活動が増大
プレゼン中にかなり酷い「ど忘れ」に陥ってしまい、パニック状態に近い状態になる――そんな経験はありませんか?
これには主に「ど忘れ」を増強してしまう2つの要因が影響しています。
1つは不快の感情による抑制系の増強。もう1つは、睡眠との関係です。
ここでは感情、特に不快の感情と抑制系の関係について解説します。
記憶のインデックスとしての役割を持つ海馬は、関連情報を大脳皮質に広く結びつけています。一方、思い出すときには思考や記憶の検索を担う前頭前野が「どの記憶を取り出すか」を制御します。
ところが、不快な感情によってこの制御機能がうまく働かなくなってしまうことがあります。
感情のうち、不安や怒り、恐怖、恥ずかしさなどの不快な気分を感じると、脳内ではまず「扁桃体」が強く活動します。扁桃体は危険やストレスに関わる信号を感知し、注意や行動を「今、対処すべきこと」に集中させます。
その結果、前頭前野(特に背外側前頭前野や前部帯状皮質)の働きが抑えられ、思い出そうとしていた情報へのアクセスが難しくなります。
不快の感情が強ければ強いほど扁桃体の活動が増大し、前頭前野の働きがより抑えられることになってしまうのです。
思い出そうとすればするほど、思い出せない
さらに、不快な感情はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促します。
コルチゾールはストレスや緊張によっても分泌され、一時的に扁桃体を活性化し、同時に抑制神経系の活動を強めることで海馬や前頭前野の神経活動を低下させます。
こうして海馬のインデックス機能が落ちると、知っているはずの情報がうまく再活性化できず、「あれ、なんだったっけ?」という状態が起こりやすくなってしまうのです。
さらに厄介なことには、「思い出そうとすればするほど、思い出せない」という状況を作り出してしまいます。思い出せないことの焦りがストレスとなって、不快の感情やストレスホルモンの分泌をさらに促してしまうからです。
ただし、この状態は一時的なものなので、思い出そうとしなくなると抑制がとれて、ふっと思い出すことができます。
例えば、仕事中はどれだけ考えても思い出せなかったのに、お風呂に入っているときや就寝前にふと「そうだ、○○だった」となった経験があるのではないでしょうか。
このように、一見すると不都合な「ど忘れ」も、脳が状況に応じて情報をコントロールしようとした結果起こる生理現象です。
思い出せないと焦るような場面では、リラックスを心がけましょう。
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