なぜ球団は「過去の歴史」を消したがるのか
日本プロ野球にも、歴史を彩りファンを沸かせた大選手はたくさんいるが、そのほとんどが永久欠番になっていない。
最古の球団である巨人は東京ドームの壁面に「1」「3」など永久欠番の選手の数字を掲示するなど、90年を超す歴史をアピールしているが、他の球団は歴史を大事にしているとは言い難い。メジャーの球団とは、大きく異なる部分だ。
現存するNPB球団の多くがチームの歴史を大事にしないのは、多くの球団が「身売り」を経験していることが大きいだろう。全12球団の内、創設時から経営母体が変わらないのは、巨人、阪神、中日、広島、そして2005年創設と歴史が浅い楽天だけ。他の球団はオーナー企業、運営企業が替わっている。球団名も変わり、本拠地も変わることが多い。
新たに球団を取得した会社は新しい歴史を築こうとはするが、他社が運営してきた過去の歴史はあまり大きく扱いたくないと思う。日米を股にかけて活躍したイチローの「51」は、シアトル・マリナーズでは永久欠番だが、オリックス・バファローズは永久欠番にしていない。近鉄バファローズと合併したからかもしれない。ただしイチロー以降に「51」をつけた選手はいない。
日本で「永久欠番」が少ないワケ
オリックスはかつての本拠地だった「ほっともっとフィールド神戸」には、イチローや前身である阪急ブレーブスの大選手・福本豊、近鉄の大エース・鈴木啓示などの写真をアレンジした壁画がある。阪急、近鉄の歴史に対して一定の敬意は払っているのかもしれない。
MLBではNPB以上に経営者の交代は激しいが、オーナーが替わっても球団名やフランチャイズは変わらないことが多い。球団を買収するとはファンや球団の歴史を引き継ぐことでもあるから、永久欠番なども引き継がれるのだろう。
もう一つ言えば、日本の野球ファンは選手の移籍をネガティブに受け止めがちなことが大きい。今、永久欠番になっている15選手のうち、巨人の金田正一、中日の西沢道夫、広島の黒田博樹を除く12人が1つの球団でキャリアを終えた「フランチャイズプレイヤー」だ。NPB史上最多の3085安打を打った張本勲、歴代2位の通算657本塁打を放った大捕手・野村克也、三冠王を3度獲得した落合博満ら、球史に残る大選手の背番号が欠番になっていないのは、球団を移籍していることも大きいのではないか。

