天皇陛下から掛けられた言葉に感激
多数の功績により、小星さんは1995年に科学技術庁長官賞を受賞。1999年にはミニラボ技術が水資源の保護に貢献したことが評価され、55歳で紫綬褒章を受賞した。
小星さんは、皇居の豊明殿で当時の天皇陛下(明仁上皇)に拝謁したときのことを鮮明に覚えている。
「天皇陛下の『日本の未来をお願いします』というお言葉に感激して、髪の毛一本一本まで電流が走ったんです。定年後は自分の技術を使って日本のために尽くそうと誓いました」
その晩、小星さんは宿泊先のホテルで妻に宣言した。
「定年したら、退職金、貯金、株のすべての資産を日本のための事業に使わせてくれと言いました。もう俺はいないと思って、年金だけでやっていってほしいってね。女房は私の性格をよくわかっているので、好きにしていいと言ってくれました」
3時間の入浴で体のだるさが消えた
紫綬褒章を受賞した後も仕事は忙しく、海外出張によく行った。アメリカで2週間ほど過ごしてからドイツに到着した長期出張では、移動の疲れに加えて時差ぼけもひどかった。しかし、小星さんはドイツで建設中の写真用錠剤工場の責任者だったため、ゆっくり休んでいる暇はない。見かねた現地の社員に誘われ、小星さんは温泉がある療養地のクアオルトに向かった。
「バウアという男が『小星さん、すごく疲れた顔をしている。温泉病院に行こう』と言って、スポーツカーで連れて行ってくれたんです」
クアオルトには約1500床の温泉病院があり、80名程度の医療従事者がいる。小星さんは医師の指導に従い、3時間入浴。その夜はよく眠ることができ、朝もすっきり目覚められた。ただぬるま湯に浸かっていただけなのに、体のだるさが急に消えたことに驚いた。
現在の小星さんのオフィスには、ドイツの「ピタクラシカ」という温泉館の看板の写真が飾られている。看板のモチーフになっているのは、杖をついてうつむきながら歩いていた老人が温泉で療養した後、元気になって帰っていく姿だ。当時の小星さんはこの看板を見てひらめいた。
「これだ! と思ったんですよね。ドイツの温泉をヒントに入浴剤を作れば、日本のみんなを元気にできるはずだと」

