すぐれた人と常に身近に接する

聖者たちに会うのは善いことだ。彼らと共に住むのは常に楽しい。愚か者たちに会わずにいるなら、常に安楽にいられるだろう。(法句経206)

「善知識ぜんちしき」と聞いても一般にはなじみが薄いことばでしょう。よい知識のことではなく、仏教では「仏道へ正しく導く人」を意味する語で、仏門の師や高僧、またよき友(善友)をさして使われることもあります。

この句の「聖者たち」とは、いわばその「善知識たち」のこと。智慧をそなえ、正道を歩む彼らとともに生活するのは楽しいことで、愚か者と顔を合わせる苦がないのだから、いつも安楽(幸福)でいられるというのです。

道元禅師どうげんぜんじは、「よき人と交わっていれば、知らず知らず自分も感化されていく」として、「霧の中を行けば、覚おぼえざるに衣ころもしめる」ということばを引いています(『正法眼蔵随聞記』五)。霧の中を歩いていると、知らないうちに着物がしっとりしてくる――。