テレビの世界の「聞き上手」のリアクション 

テレビの世界でリアクション上手として知られるのが、元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏です。コメンテーターとして番組に出演しているとき、橋下氏は相手の発言の最中でも表情がよく動きます。

驚いた表情を見せたり、苦笑したり、深くうなずいたり。こうしたリアクションがあるため、カメラに抜かれたときでも、議論に参加している様子が自然に伝わります。

視聴者から見ても、「積極的に話を聞いている」という印象が残るのです。

ベテランコメンテーターの橋本五郎氏(読売新聞特別編集委員)も、聞き手としての安定感が際立つタイプです。橋本氏は、派手なリアクションはありませんが、ほかの出演者が話している間も、発言者にしっかり視線を向け、うなずきながら話を聞いています。

この落ち着いた姿勢が、「聞き上手」「誠実」という印象につながり、長年にわたって視聴者から信頼される理由のひとつになっています。

逆に、冒頭でお伝えしたように、別の出演者が話している間に、無表情のまま座っていたり、視線を下に落として資料やタブレットばかり見ていたりすると、視聴者にはこう映ります。

「この人、話を聞いていないのではないか」と。

世阿弥の「離見の見」を意識

能の理論を確立した世阿弥は、『花鏡』の中で「3つの目」について書いています。

ひとつめは「我見」。自分自身の視点。

2つめは「離見」。相手からどう見えているかという視点。

3つめが「離見の見」。自分を客観的に俯瞰して見る、第三者の目線。

ポッドキャストでライブ配信をするクリエイター
写真=iStock.com/Diamond Dogs
※写真はイメージです

テレビなどのメディア出演時は、この「離見の見」が重要になります。自分が話していない時間でも、視聴者からつねに見られている。その意識を持つだけで、態度は変わるはずです。ポイントは、実にシンプルです。

・発言者に視線を向ける
・話に合わせてうなずく
・口角を上げて、柔らかい表情を保つ

これだけで、視聴者からは「この人は話を聞いている」「議論に参加している」との印象になります。メディア対応では、話しているときだけでなく、話していないときの姿まで見られていることを、どうぞお忘れなく。