引用が越えてはいけない「3本の線」

ちなみに、引用には越えてはいけない3本の線があります。いわば諸刃の剣です。

このラインを超えると、「サムい・他責・思考停止」の三重悪評価に陥ります。

1本目は、量。

1つの話に引用が2回以上出てくると、聞き手の印象は「博学だな」から「自分の意見がないな」に反転します。引用は1つの話にせいぜい1回。

もう1つ入れたくなったら、自分の言葉に翻訳し直してください。

2本目は、文脈。

相手の世界に存在しない権威を持ち出しても、「なんでその人が出てくるの?」で止まります。営業の相手には営業畑の人の言葉を。エンジニアの相手にはエンジニアが尊敬する人の言葉を。権威は「自分基準」ではなく「相手基準」で選んでください。

川岸宏司『なぜ、あの人の言葉は心に響くのか』(大和書房)
川岸宏司『なぜ、あの人の言葉は心に響くのか』(大和書房)

3本目は、思考停止。

「偉い人が言っていたから正しい」は、引用ではなく丸投げです。権威は入口であって、結論ではないし、名言で話を閉じる人は、結局他人の脳で考えていることになる。

冒頭で見た「名言オンパレード」の講演者が、まさにこれでした。

借りた言葉はきちんと返して、最後は自分の声で閉じる。

引用の極意は、主役を譲らないことです。

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