寝る前3分の「1人反省会」
突然ですが、昨日あなたが発した言葉の中で「一番うまく言えた」と思う一言を、思い出してみてください。
……そう言われても、すぐには出てこないのではないでしょうか。
では、「あの言い方はまずかった」と思う一言はどうでしょうか?
こちらのほうが浮かびやすいかもしれません。
人は成功体験は忘れるのに、失敗体験はこびりつく。
それなのに、ほとんどの人は自分が発した言葉を振り返りません。
アスリートは試合映像を見返す。ミュージシャンは自分の演奏を録音して聴き直す。
プロの世界では「自分のアウトプットを検証する」のが当たり前なのに、なぜか「言葉」だけは、発しっぱなしで終わっている。
これが非常にもったいないと思っています。
なぜなら日常会話の中にこそ、言語化力を鍛える最良の素材が転がっているから。会議での一言、LINEの返信、部下への指示、子供への声かけ。
毎日何百もの言葉を発しているのに、ほぼ全員が使い捨てにしています。
私が毎晩やっている習慣があります。
それは「寝る前の3分間、1人で反省会をする」ということです。
大げさなものではありません。
今日の会話を思い出して「あの一言、もっとこう言えたな」と考えるだけ。
使うのはスマホのメモ帳1つで、時間は3分。
「効いた一言」と「滑った一言」を拾う
まず、今日1日を頭の中で巻き戻します。
朝の挨拶、ランチの会話、午後の会議、帰り際のやりとり。
ぼんやりでいいので、場面を思い浮かべてください。
その中から「効いたな」と感じた自分の一言を拾います。
相手の表情が変わった瞬間、会話の空気が動いた瞬間。些細なもので構いません。「あっ、あのとき課長がちょっと笑ったな」くらいで十分です。
見つけたら、メモに書く。そして、なぜ効いたのかを1行で添えます。
・「新しい案件ですが、鈴木さんに任せたいと思ってます」
→名前を出して「任せたい」と言い切ったのが効いた。期待を言語化したことで、相手の顔が変わった。
次に「滑ったな」と感じた一言を拾います。
相手の反応が薄かった場面、微妙な沈黙が生まれた場面などです。
・「この件、早めにお願いします」
→「早め」が曖昧すぎた。相手の顔に「いつまでですか?」と書いてあった。
最後に、その「滑った一言」を書き換えます。
・「この件、早めにお願いします」
→「金曜の午前中までに初稿をいただけると、週明けの会議に間に合います」
「早め」を「金曜の午前中」に具体化して、「お願いします」を「間に合います」に変えた。主語が「私の要望」から「あなたの仕事が活きる場面」にすり替わっています。
ここまでで3分。
大事なのは「効いた一言」と「滑った一言」の両方を拾うことです。
失敗だけを見ると自己嫌悪になりますが、成功だけを見ると成長が止まります。
両方を並べて初めて、自分の言葉の癖が浮き上がってきます。

