高市首相は9月下旬、初の内閣改造・党役員人事を断行すると見られている。政治ジャーナリストの清水克彦さんは「いまの高市氏に、自民党の最高権力者である麻生氏と全面戦争するだけの力はない。ただ、党内からは『麻生氏頼みから決別したことを人事で示したほうがいい』という声も上がっている」という――。
麻生副総裁 自民党・資料
写真=共同通信社
自民党の臨時役員会に臨む麻生太郎副総裁。右は高市早苗首相のポスター=2026年7月30日、東京・永田町の党本部

「最高権力者」との勝敗が明らかに

9月は政治決戦の1カ月になる。国際的に見れば、9月24日に予定される米中首脳会談だ。

アメリカのトランプ大統領(80)が、イランのみならず、イランと取引がある国にも制裁を加えると発表したのも、中国からの輸入品に7.5%の追加関税を課す検討に着手したのも、中国の習近平国家主席(73)との会談を有利に運ぶための手段にほかならない。

国内的に見れば、9月16日~18日、高市早苗首相(65)が実施する内閣改造と自民党役員人事である。

人事の日程に関しては、与党で飲食料品の消費税減税を含めた税制改正大綱をまとめ、減税で「踏み絵」を踏ませたあとの9月下旬になるとの見方もなくはない。

いずれにしても、今回の人事を見れば、高市氏が、今や自民党の最高権力者となっている麻生太郎副総裁(85)に「この先もすがる」のか、それとも「関係を断つ」のかが鮮明になる。もっと言えば、両者の勝ち負けが明確になるからである。

悲願の憲法改正を実現するには…

「確かに麻生さんは、先の国会で事実上、皇室典範改正を主導し、一方で、高市氏と日本維新の会の吉村洋文大阪府知事(51)との間で握ってきた衆議院の議員定数削減法案を先送りさせるように動いたかもしれません。でもね……」

ある自民党麻生派の衆議院議員は、各メディアが報じている「高市vs麻生」の構図に否定的な見方を示す。

「麻生さんの政治家としての総仕上げは憲法改正なんですよ。それを実現させるには、保守派である高市さんのままのほうがいい。高市さんだって、来年秋の自民党総裁選挙で再選を目指すなら、麻生さんの力が絶対に必要」

つまり、高市氏と麻生氏は、私的な感情を曲げてでも「Win-Win」の関係を維持したほうが、それぞれの政治目標を達成するうえで得だと言うのだ。

確かにそうだ。ただ、それだけではない。