退屈な1文を3通りに書き換える

もうひとつ試してみます。

「子育ては大変だ」

1「ママがスマホを見てる。ぼくのことは見ていない」
2「寝かしつけに2時間。でも寝顔を見て、全部チャラになる不思議」
3「10年後、この大変さを『懐かしい』と言う自分がきっといる」

1本目は主語を親から子供に。2本目は大変さの中にある感情の反転を。3本目は時間軸を未来に飛ばしてみました。

どれも「子育ては大変だ」という同じ事実を語っています。

でも読む人の心の動き方がまるで違いますよね。

主語、感情、時間。この3つを動かすだけで、見出しは別の生き物になります。

ここの書き換えのパターンにはいくつかの「型」があります。

具体に落とす

「仕事がうまくいった」を「提案書を出した翌日、先方から電話が来た」に変える。

数字、固有名詞、五感。具体の素材を混ぜると、見出しに映像が宿ります。

抽象度を上げる

「仕事がうまくいった」を「準備は、運を引き寄せる唯一の方法だった」に変える。

個人の体験を、誰にでも当てはまる教訓に昇華させます。

主語を変える

自分目線を、相手目線に。大人の目線を、子供の目線に。勝者の目線を、敗者の目線に。同じ風景でも、立っている場所が変わるだけで、まったく別の物語が始まります。

時間を動かす

今の話を過去に戻す。未来に飛ばす。「3年前の自分がこれを聞いたら」「10年後に振り返ったとき」。時間を混ぜると、見出しに奥行きが生まれます。

書き換えには「型」がある

型を知っておくと、書き換えの速度は上がります。

ただし、意識しすぎると機械的になってしまうので「これ、もっといい言い方ないかな」という感覚のまま手を動かすことを大事にしてください。

そして、先ほど伝えた「書き換えは最低3本」には、意味があります。

1本目は反射。頭に最初に浮かんだものをそのまま書く。

2本目は工夫。少しひねってみる。

3本目で初めて「発見」が起き、自分でも予想しなかった角度が出てくる。

この3本目にこそ、価値があると思っています。

電車の中吊り広告、ニュースアプリの見出し、SNSで流れてきた投稿。

「この見出し、自分ならどう書く?」と考える癖をつけてください。

スマートフォンでニュースを読む
写真=iStock.com/bymuratdeniz
※写真はイメージです

これを1カ月も続ければ、最初から「複数の角度」で物事が見えるようになっていき、言葉の引き出しが確実に変わります。

見出し1つで、人は読むか読まないかを決めます。

同じ事実を何通りの言葉で語れるか。

その引き出しの数が、あなたの言葉の射程距離です。