「変化のない日常」は脳の天敵
前頭葉の働きを一言で表すなら、未知の状況への対応です。側頭葉や頭頂葉は、何度も経験したおなじみの状況に対応しますが、展開が予測できない新しい状況への対応は、前頭葉が担っています。
そのため、変化のない日常生活を繰り返していると、前頭葉の働きはどんどん低下していきます。
一般的に、リタイアして通勤の必要がなくなった高齢者の日常生活は、同じことの繰り返しになりがちです。
毎日、同じ時間に起きて、同じような道を散歩し、同じようなテレビ番組を見て、バリエーションに乏しい食事をして、同じ時間に寝る。新しい情報にアクセスしたり、おもしろいことを考える習慣もあまりない。このような生活を続けていると、前頭葉を使うことが少ないので、機能が衰えていきます。
予想したことと現実のギャップが大きければ大きいほど、前頭葉にとってはよい刺激になります。
外食するとき、いつも同じ店に行っているのでは前頭葉の刺激にはなりません。店に入ったとたん、店員から「いつものやつですね」とかいわれるようなら、前頭葉を使うことはほとんどありません
高齢者の恋愛をすすめるワケ
これに対して、新しい店は、それなりの緊張感をもたらします。どんな客層が来店しているのかを探り、それにふさわしい態度をとり、初めて見るメニューから食べたいものを選んでオーダーする、メニューの金額も気になるでしょう。このように、新しい店に入ることも、未知の体験になるのです。
パートナーがいる人は、お互いが「空気のような存在」になっていませんか。会話も決まりきったことしかいわないでいると、やはり前頭葉を衰えさせます。
恋人どうしだったときは、どうだったでしょうか。相手がどんなことで喜ぶのか、どんなことに興味があるのか、手探りで相手のことを必死で知ろうとしたのではありませんか。こうした努力が前頭葉を刺激するのです。
心がときめいてわくわくするような高揚感は、いくつになっても前頭葉に必要です。私は高齢者の恋愛をすすめていますが、その理由のひとつは、恋愛が前頭葉の格好の刺激になるからです。
ルーティーン化した日常では、たいていのことが側頭葉と頭頂葉で処理できます。これでは前頭葉が活躍する機会がありません。
つねに新しいことに興味を持ち、それを実行に移すことを繰り返す。それこそが、前頭葉をボケさせない最大の方法なのです。
ヨボヨボ老人にならないためのもうひとつのポイントは、男性ホルモンを減らさないということです。

