計画の遅れと費用増大には批判も
もっとも、インドの高速鉄道計画にも課題はある。
2017年の起工時、全線の開業は2023年12月に予定されていた。それが現在、先行区間のスーラト―ビリモラ間の開業すら2027年8月にずれ込み、全線の完成は2029年末に設定し直された。デカン・ヘラルドは、遅れの主な原因として、用地取得の難航、車両の調達先の選定、森林・環境に関する許認可の取得などを挙げる。
インド鉄道委員会のサティシュ・クマール委員長は、当初約1兆800億ルピーとされた総事業費が、遅延によって約1兆9800億ルピー(約3兆2900億円)に達する見通しだと明らかにした。当初見積もりから約83%の増加である。
こうしたことから、計画には批判も向けられている。アルジャジーラは、主に富裕なビジネス客が使う高速鉄道に巨費を投じるより、その資金を老朽化した既存の鉄道網の改善にこそ充てるべきだという反対派の声を伝えている。
ただし、最大の課題だった用地の問題はすでに決着している。NHSRCLによると、路線に必要な用地の取得は100%完了し、工事は本格的に動き始めた。
間に合わなかった次世代新幹線
インターナショナル・レイルウェイ・ジャーナルによると、2015年の日印覚書では、インドが日本から車両、信号システムおよび運行管理センターを調達すると定められていた。だが、このうち車両と信号システムについては、すでに日本と距離を置きつつある。
車両についてインドは当初、日本の主力車両であるE5系を導入する計画だった。その後、同モデルを前提とした価格交渉が折り合わず、次世代のE10系を日印同時にデビューさせる案へと変更されている。
国際鉄道業界誌のレイルウェイ・プロによると、E10系は試験列車「ALFA-X」の知見を取り入れており、従来モデルに比べて制動距離を15%短縮するほか、地震の振動を吸収する新機構を備えている。最高運転速度は時速320キロで、現行のE5系と同じだ。
JR東日本は日本での営業運転を2030年度に始める計画だが、2027年8月のインド高速鉄道の部分開通には間に合わない。しかもインド側の受け止めはさらに厳しく、当局者はE10系がインドに届くのは2034年になる、との見方をメディアに示している。代わりに、当初はインドが国内で製造する車両を投入する。

