“ぼんやりした質問”は部下を沈黙させる
上司が間違えたのは、質問が大きすぎて、ぼやけていたことです。会議で大切なのは、「何について考えればよいのか」を明確にすることです。たとえば、先ほどの質問は、次のように変えられます。
「今月の売上が落ちている原因を、まずは新規顧客の獲得に絞って考えると、どこに課題があると思いますか」
「次に、既存顧客へのアップセルに絞って考えると、どこに課題があると思いますか」
あるいは、さらに具体的に、「リピート率を2倍にするために、来店後のお客さまの体験で改善できる点は何ですか」と尋ねてもいいでしょう。
ここまで質問が絞られていれば、参加者は何について考えればよいのかがわかります。発言が具体的になり、議論も深まり、意思決定のスピードも上がります。
反対に、ぼんやりした質問をされた人は、不安を感じます。
「この答えで合っているのだろうか」
「見当違いなことを言って、評価を下げたくない」
「上司が求めている答えは別にあるのではないか」
そして、最も安全な行動を選びます。
「発言しないでおこう」
しかも、一度「発言しても話がまとまらない」「結局、上司が何を求めているのかわからない」という経験をすると、次の会議ではさらに口が重くなります。上司には「主体性がない」ように見えても、部下の側では「余計なことを言わないほうがいい」と考えを変えてしまっている可能性があるのです。
毎回「次回考えよう」「いったん持ち帰ろう」は×
会議で誰も発言しないとき、参加者のやる気ばかりを疑ってはいけません。発言しにくい質問を投げていないか、まずは上司が振り返る必要があります。発言の少なさは、人の問題ではなく、質問の「質」の問題であることが少なくないのです。
質問を具体的にすれば、意見は出やすくなります。しかし、活発に意見が出たからといって、有意義な会議になるとは限りません。ある営業戦略会議で、来期の方針について参加者が意見を出し合っていました。
「SNSをもっと活用して、若い世代にアプローチしましょう」
「新規顧客より、既存のお客さまへのフォローを強化したほうが効果的です」
「年4回の紹介キャンペーンを実施して、紹介制度を広げてはどうでしょうか」
ホワイトボードはさまざまな提案で埋まり、参加者も互いの意見にうなずいています。雰囲気のよい会議でした。ところが、最後に進行役の部長がこう言いました。
「どれもいい意見ですね。では、次回の会議でさらに考えましょう」
結局、どの案を実行するかは決まりませんでした。次の会議でも同じように意見を出し、また結論を先送りする。これを繰り返せば、参加者の間に「会議をしても何も変わらない」という空気が広がるのは当然です。
特に、毎回「いったん持ち帰りましょう」で終わる会議は要注意です。持ち帰ること自体が悪いのではありません。問題なのは、「誰が、何を、いつまでに判断するのか」が決まっていないことです。そこが曖昧なままだと、次の会議でも同じ議論を繰り返すことになります。

