初めてのクジャク肉は衝撃の味わい
ある年、知人が沖縄のハンターからクジャクを入手し、みんなで調理して食べる会を開催した。まずは、冷凍で送られてきたクジャクを解凍。それから、みんなでクジャクを囲み、特徴ある美しい羽根を抜いていく様子は、なかなかの迫力だった。
ところが、いざ肉を切り分けはじめると……のけぞった。閉口するほど、臭かったのだ。野生の生き物であるジビエ肉は、基本的に個体差があり、また捕獲法や処理の違いにより、肉の品質が大きく変わる。そのうえ、個人間のやりとりで離島から東京へ送られる過程で、肉が傷んだ可能性も大きかっただろう。
その時は結局、スパイスで臭みをマスキングして、カレーにして食べた。肉の味は「臭い鶏肉」くらいの感想。中世ヨーロッパの宮廷宴会では、クジャクの焼肉がごちそうだったはずなのに、「解せぬ……」と唸った。
そもそも、クジャクを食べる文化は、古代ローマや中世ヨーロッパの貴族社会で盛んだった。華やかな姿から、権力の象徴として宴席を彩る豪華な食材だとされていたのだ。しかし16世紀に入ると七面鳥の流通によって、食材としての役目は終了。その後は観賞用や羽の利用がメインとなり、食卓からは姿を消していった。そして時を経て現代の日本では、観賞用から防除のために食用へと逆行している。
クジャク肉を扱うレストランも登場
現在は、クジャク肉を扱うレストランもある。旅行で宮古島を訪れた知人たちからは、現地で「焼きクジャク」や「クジャクカレー」を食べたという話を聞いた。
東京では、高田馬場にあるジビエ料理店「米とサーカス」で、入荷があったときだけ数量限定で「クジャク鍋」を提供している。
この店で食べたクジャク肉は、限りなくヘルシーな超さっぱり味だった。胸肉とモモ肉ともに力強い歯ごたえはさすが野鳥という感じだが、つまり率直に言って少し硬い。だが、以前、みんなで解体して食べたときのような臭みは一切ない。解体から調理までプロの手を通すと、肉のクオリティが段違いになるという当たり前の事実を、改めてじっくり味わうことができた瞬間でもあった。
店の人に話を聞くと、「お客さんから“驚きのおいしさ!”という声はほぼありませんが、みなさま一様に“これがクジャクの味か”と知的好奇心を満たしながら、噛みしめられているご様子です」とのことだった。



