積立投資ならどちらを選ぶべきか

では、NISAの非課税枠で積立投資を始めるなら、どちらを選べばよいのだろうか。

結論から言えば、初心者であれば、どちらを選んでも大きな間違いではない。違いは、商品そのものよりも、投資に対する考え方のほうにある。

これからもアメリカ経済が世界を引っ張っていくと考えるなら、S&P500を選ぶ。将来どの国が成長するかは誰にも分からないから世界全体を持っておきたいと考えるなら、オルカンを選ぶ。それだけのことだ。

重要なのは、「どちらが正解か」ではなく、自分が納得できる考え方を選ぶことである。

アメリカの国旗の前に立っているチャートを分析するビジネスマン
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「半分ずつ買えば安全」という誤解

初心者からよく受ける質問に、「半分ずつ買えば一番安全ではないですか」というものがある。一見すると、たしかに分散投資になっているように思える。

しかし、先に見たとおり、オルカンの6割強はすでにアメリカ株だ。S&P500とオルカンを半分ずつ保有すると、資産全体の8割前後がアメリカ株という計算になる。

もちろん、「アメリカを多めに持ちたい」「他の国の企業の株はごく一部だけでOK」という考えであれば、それは一つの投資判断である。しかし、「分散したいから両方買う」という理由であれば、期待しているほどの分散効果は得られない。

過去25年はS&P500が勝ってきたが…

ここまで読むと、「それなら結局、S&P500のほうがいいのではないか」と思う人もいるだろう。

実際、2000年以降の約25年間で見れば、S&P500はオルカンを上回るリターンを上げてきた。前出のApple、Microsoft、Amazon、Alphabet、NVIDIAなど、世界経済をリードするIT企業が次々とアメリカから誕生したことが、その最大の理由である。

ただし、中身を見ると話はそれほど単純ではない。ITバブル崩壊から金融危機を挟んだ2000年代、アメリカ株は「失われた10年」と呼ばれるほど低迷し、この時期はむしろアメリカ以外の株式のほうが優勢だった。S&P500が独走したのは、おおむね2010年代以降の話なのである。

だから、「これからもS&P500が必ず勝つ」と考えるのは早計だ。

1980年代、日本企業は世界の時価総額ランキング上位を独占し、「日本の時代」と言われた。しかし、その後の歴史は多くの人が知るとおりである。

投資の世界では、勝者は入れ替わる。過去25年間の結果は、次の25年間を保証するものではない。ここが、初心者の最も誤解しやすい点なのである。

S&P500を選ぶことは、「これからもアメリカが世界経済をリードする」と考える投資であり、オルカンを選ぶことは、「未来は誰にも分からない。だから世界全体を保有しよう」という考え方に基づく投資である。どちらが正しいかは、20年後にならなければ分からない。