2025年8月10日、夏の甲子園大会期間中に、広島代表の広陵高校は寮内で起きた暴力事件により出場を辞退した。スポーツライターの広尾晃さんは「問題は、甲子園出場で多くの野球部員を集めるビジネスモデルにある。その結果生まれた野球部寮は、事件が起きやすい構造になっている」という――。(第4回)

※本稿は、広尾晃『高野連』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

記者会見で謝罪する広陵高野球部の中井哲之元監督=2026年8月7日午前、広島市
写真=共同通信社
記者会見で謝罪する広陵高野球部の中井哲之元監督=2026年8月7日午前、広島市

強豪校の出場辞退でわかる「新しい高校野球」の姿

21世紀に入って、日本社会はかつてない変貌を遂げつつある。例にもれず高校野球を取り巻く環境も大きく変わりつつある。「昭和の時代」なら考えられないことが次々と起こるなか、日本高野連や各校の指導者はこうした事態に対応できず、右往左往している印象がある。

一方で、社会の変化に伴って「新しい高校野球」の姿が次々と生まれつつある。その多くは、日本高野連が主導するものではないが、それなりの存在意義があるものも多い。「汗と涙と青春と」では片づけられなくなった、高校野球の変貌について紹介する。

2025年8月10日、夏の甲子園広島代表校だった広陵高校が出場を辞退した。1回戦で旭川志峯高に勝ち、次戦を控えていた最中である。大会が始まってからの出場辞退は極めて異例だった。

広陵高は、1923年の第9回の中等学校優勝野球大会から出場している古豪中の古豪。春出場27回(優勝3回)、夏出場26回(準優勝4回)。広島県では広島商と並ぶ名門だ。