真相はわからないのに大炎上
SNSでの発信にはファクトチェックは一切ない。もともとの発信者は義侠心で行ったとしても、拡散する段階で、無責任な匿名の人物が関与し、アクセス稼ぎで人権やプライバシーの侵害なども行われる。
この動きに乗せられて慌てて対応すると、彼らは付け上がり、さらに炎上することになる。SNSに実体はないのだ。9月になると加害生徒側が、SNSで発信した被害者側を名誉毀損で告訴した。SNSが絡むことによって、事件は一瞬で拡散されるが、虚実取り混ぜた情報が発信されるため、事件の真相はかえって把握しにくくなる。
広陵高校では監督、野球部長が退任するなど、体制一新を余儀なくされたが、結局、真相は何だったのかはっきりしないままだ。一つだけ言えるのは、この事件の対応をめぐって、広陵高校、広島県高野連、さらには日本高野連の権威、信頼性が失墜したということだ。
学校側は隠蔽策に走ったとみられたし、広島県高野連、日本高野連は「事件を矮小化しようとした」と見られてしまった。
実は、日本高野連が広陵高校に科した非公表の「厳重注意処分」は、1983年、第4代日本高野連会長、牧野直隆が従来の厳格な「連帯責任処分」を緩和するために設けた制度だ。
当時の世論は「連帯責任」で甲子園の道を閉ざされる野球部に同情的だったが、今の世論は瑕疵であっても厳しく非難して「厳罰」を与える方向へと変化している。そうした社会の価値観の変化もあって、今回の事件は「大炎上」したのだといえる。



