複眼的思考を身につけてみよう

私たちが世の中を見るとき、無意識のうちに「役に立つか、立たないか」を基準にしています。ものだけでなく、人に対しても「あいつは使える」「こいつは使えない」といった表現をする人がいるのは、その表れです。現在の資本主義社会では「有用か、無用か」が最も重要な判断軸であり、役に立つ人間ほど多くの報酬を得て、大金を手にできる仕組みになっています。

ビジネスの世界にいる人たちは、「仕事ができる人間が評価されるのは当然だろう」と考えるかもしれません。しかし広い視野で世界を眺めると、一見何の役にも立たないように思えるものが、大切な役割を果たすこともあると気づくでしょう。

これを「無用の用」という言葉で説いたのが、古代中国の思想家であり、道教の始祖の一人とされる荘子です。その思想を記した書物の『荘子』には、「胡蝶の夢」「朝三暮四」「井の中の蛙」など、今でもよく使われる言葉の出典となったエピソードが多数収められています。

(構成=塚田有香 撮影=川しまゆうこ イラストレーション=米山夏子)
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