退屈な毎日が「冒険」に変わる発想の転換法
日常生活が退屈に思える瞬間は、誰にでもあるものです。毎日が同じことの繰り返しでつまらなく感じたり、自分の人生がちっぽけなものに思えたりして、「何か面白いことが起きないかな」と期待することもあるのではないでしょうか。
その期待に応え、人々の退屈を吹き飛ばしてくれるのが「英雄」の存在です。
メジャーリーガーの大谷翔平選手は、私たちにとってまさにヒーローです。ピッチャーとしてもバッターとしても超一流で、世界最高峰のメジャーリーグで2年連続のホームラン王と3回のMVPを獲得。2023年のWBCでは投打にわたる活躍で日本代表を世界一に導き、日本中を歓喜の渦に巻き込みました。あれほどの感動と興奮を人々にもたらした大谷選手は、本物の英雄と呼ぶにふさわしいでしょう。
もともと「英雄」は、神話や民話に登場する主人公を指す言葉で、常人を超えた能力や資質を持つ存在として描かれます。米国の神話学者ジョーゼフ・キャンベルは、世界各地の英雄伝説を収集して比較研究し、一冊の本にまとめました。それが神話論の古典的名著とされる『千の顔をもつ英雄』です。
キャンベルの研究で明らかになったのは、英雄の物語はどれも驚くほど一貫した共通パターンがあることでした。
「英雄はごく日常の世界から、自然を超越した不思議の領域(X)へ冒険に出る。そこでは途方もない力に出会い、決定的な勝利を手にする(Y)。そして仲間(Z)に恵みをもたらす力を手に、この不可思議な冒険から戻ってくる」(*)
(*)…本書では(X)~(Z)を用いた図で解説されている。
日常から離れて外の世界へ旅立ち、様々な苦難を乗り越えて特別な力を手に入れ、元の世界へ戻ってくる。つまり「分離→イニシエーション(通過儀礼)→帰還」が英雄神話の定型であるとキャンベルは述べています。ギルガメッシュの冒険も、オデュッセウスの苦難の旅も、ブッダの修行も、イザナギ・イザナミの物語も、すべてこのパターンに当てはまります。
これは英雄神話が民族や時代を超えた普遍性を持つことを意味します。どの国や地域の人たちも、英雄に求めるものは同じであり、この型に沿った物語に共感するのです。
ちなみにジョージ・ルーカスは、『スター・ウォーズ』の脚本を執筆する際に、本書からインスピレーションを得たと語っています。確かにあの物語の構造は英雄神話の型を踏襲しています。
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