ただ、子どもが成人して巣立った後は部屋数が少なくて済むようになるという側面もあるので、夫婦2人だけで住むのに十分なコンパクトな間取りの物件を選び、今までよりも家賃を安く抑えることは可能でしょう。とことんまで負担を軽くしたいなら公的な住宅に注目する手もありますが、所得水準などに関する要件が定められていてかなり福祉的な位置づけの住まいですから、誰でも入居できるというものではありません。
一方でUR賃貸とかをイメージしている人も多いようですが、こちらはそれなりに収入のある人を前提とした物件で、年金生活者の場合は、契約時に家賃の100倍以上に相当する貯蓄があるかどうかを調べられることもあります。
いずれにせよ、維持費しかかからなくなった持ち家派と比べれば、賃貸派の月々の出費はどうしても多くなってしまいます。もちろん、ニーズに応じて自由に引っ越せるというメリットもありますが……。
加えて、お金以外の問題としては、保証人を確保できるかどうかという問題が大きなネックになります。親族や友人など、身近な誰かに引き受けてもらえるかどうか。物件の供給自体は豊富であっても、どうしても大家さんは孤独死のリスクなどを意識し、あまりシニアには貸したがらないものです。シニアでもOKな物件を見つけて保証人も確保することは非常に切実な問題なので、あまり軽く考えておかないほうがいいでしょう。
(構成=大西洋平)