故郷に住んでいた両親が亡くなり、実家が無人になる。こうした理由などから日本各地で空き家が増加傾向にあり、総務省が5年に1度行う「住宅・土地統計調査」によると、2008年で756万戸余りに達しています。今後も、少子高齢化で増え続けることは間違いないでしょう。
田舎が遠いと、そのままにしてしまいがちですが、それによるデメリットは少なくありません。人が住まない家屋は傷みやすく、倒壊すれば近所に迷惑をかけてしまいます。また、不審者が入り込んで犯罪の温床にもなりかねません。
しかし、維持していくのにもコストがかかります。帰省の交通費だけでなく、地元の管理代行業者に建物の風通しや庭の草刈りを依頼するための費用が発生します。田舎が豪雪地帯なら、雪下ろしも頼む必要があるでしょう。1回で数万円を超えることもザラです。さらに、固定資産税もばかになりません。
当然、そこで土地と建物を売却あるいは貸すという選択も考えられます。ただ、その前に心がけておいたほうがいいことがあります。家族や親族が良好なコミュニケーションを図り、実家の親が亡くなる前に、流動資産や不動産の処分をどうするかを決めておくということです。いまは兄弟の数も少ないですから、比較的コンセンサスも得やすいでしょう。
次に、不動産の権利関係を確かめておいてください。税金は両親が払っていたにもかかわらず、家屋敷が祖父の名義になっていることが意外とあります。その場合、相続するには祖父の代までさかのぼって相続の対象となる親戚を探し出し、全員のハンコをもらう必要があります。