対抗意識強いヤマダ、価格見やすいビック

家電量販業界の再編が進んでいる。2012年5月、売り上げ順位で業界5位だったビックカメラが6位のコジマを買収。連結売上高は1兆円規模となり、首位のヤマダ電機に迫る2位へと躍り出た。すると7月に首位のヤマダが、8位のベスト電器を買収、再び、2位以下を引き離した。背景にあるのが、家電量販店を襲う大幅な売り上げの減少だ。

首位のヤマダは毎月「全店POSベース売上」を発表している。これをみると、地上波テレビ放送のデジタル移行が完了した11年8月以降で前年を上回ったのは、11年12月だけで、その後も売り上げは前年を下回り続けている。特に11年11月は前年にエコポイントの基準変更に伴う駆け込み特需があった影響で、前年比42.1%だった。

各社は生き残りをかけて、都心大型店に注力している。ヤマダは11年7月にヨドバシカメラ本店がある新宿駅西口に出店。またビックは12年9月、新宿駅東口にユニクロとの共同店舗「ビックロ」を出店した。

それでは業界首位のヤマダと、2位に浮上したビック・コジマ連合、家電製品はどちらで買うのがお得なのだろうか。12月2日の日曜日に、新宿と池袋の計4店舗で、テレビ、デジタルカメラ、プリンター、炊飯器の4つの商品について店頭価格を調査した(図参照)。

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「価格交渉なし」では池袋のヤマダ電機が最安値!

4店のうち、ヤマダの「LABI1日本総本店池袋」は、ほとんどの商品の値札に斜線が引かれていて、一部の限定品や特売品を除くと、店内を歩くだけでは店頭価格はわからなかった。商品ごとに店員へ問い合わせる必要があったのだが、価格調査を行った週末は「接客待ち」の順番ができるほど混雑していて、すべての価格を把握するのは骨が折れた。

池袋はビックカメラの創業地であり、最大の牙城だ。そのためか池袋のヤマダからは、ビックへの強い対抗意識を感じた。テレビ(REGZA 42Z7)の価格を聞いたところ、こちらが他店の名前や価格を出す前に「ビックさんのメール会員価格は11万円なんです。それに合わせますよ」と言われた。他店の価格を徹底調査している様子がうかがえた。