レンタカーやカーリース、カーシェアリングなど、買わなくても、必要に応じて車を利用できる手段が増えている。とくにカーシェアリングは、2011年頃から貸し出しステーションや車両が増えたこともあり、会員数が急増。交通エコロジー・モビリティ財団の調査では、今年1月時点で約29万人が利用するほどだ。

車を所有しないで、借りて済ませる人が増えている背景には、ガソリン価格の高騰や長引く不況も無関係ではないだろう。

1999年6月に1リットルあたり91円だったレギュラーガソリンの小売価格は年々上昇、今年6月以降は150円以上が続く。そのためか車を乗り控える傾向で、99年に480キロメートルだった月間走行距離は、2011年には410キロメートルと15%ほど短くなっている(日本自動車工業会「乗用車市場動向調査」)。

車を持てば、税金、保険料、駐車場代などのランニングコストもかかる。使用頻度が低いなら、車は持たずに借りて済ますというのも合理的な判断だろう。

では、車を所有するのと、車を一生買わずにカーシェアリングやカーリースなどを利用するのでは、どれくらい差が出るのだろうか。30~80歳までの50年間で、両者の費用を比較してみよう(インフレ率を考慮せず、諸費用、税金等は現在のもので試算)。

所有派のAさんは、10年ごとに車を買い替えて50年間所有する。子どもが独立するまでは家族で移動することも多いので、最初の10年間はSUV(多目的車)、次の10年間はワンボックスを購入。その後は、10年ごとに、セダン、コンパクトカー、軽自動車に乗り換えていくことにした。

Aさんが50年間に使う車両費の総額は、ガソリン代、車検費用、メンテナンス代、税金、保険などの諸経費も含めて2131万円となった。