「酔って千鳥足の女性→帰れない」は典型的な手口
ハニートラップに引っかからないために一番大事なのは、「自分は狙われるわけがない」と思わないことです。
私の知る限りでも、某国大使館関係のレセプションなどでは、名刺を渡した後、1週間から10日ほどで連絡が来るというのは珍しくありません。そこから食事に誘われるケースもあります。
公安外事課時代の私の師匠は、逆に「どんな罠が仕掛けられるか見てみよう」と行ったことがあったそうですが、やはり典型的なパターンが待っていたそうです。
最初はレストランで飲む。すると相手の女性がやたら早いペースで飲み、帰る頃には千鳥足になる。「このままでは帰れない」「気持ち悪い」と訴える。そこで、優しい人ほど「大丈夫ですか」と言って、ビジネスホテルや相手の自宅まで送って行ってしまう。その時点で、もう危ない。
何もなくても、2人きりになったところを隠し撮りされているかもしれない。シャワーを浴びている間に、携帯やパソコンの中身を見られているかもしれない。
この手口は古典的ですが、今でもあります。
私が民間のコンサルタントとして受ける相談の中にも、年に1、2回は出てきます。ということは、表に出ていないケースを含めれば、潜在的にはもっと多いはずです。まず大事なのは「2人きりで会わないこと」です。そして、「こういう手口がある」と知っておくことです。
狙われる人の共通点 ①自分はモテると思っている人
ハニートラップに引っかかりやすい人、あるいはターゲットになりやすい人には、実はある共通点があります。
1つ目は「自分はモテると思っている人」、あるいは「自分に人が寄ってくることを不思議に思わない人」です。
私自身を例に出せば、引っかかりにくいタイプだと思っています。なぜかというと、自分はそんなにモテる人間ではないという自覚があるからです。だから、自分に言い寄ってくる人がいたら、とりあえず疑う。まず「何かあるのではないか」と考えるわけです。
逆に危ないのは、中途半端に若い頃モテた人、今もそこそこモテると思っている人です。そういう人は、異性が近づいてきたときに、「やっぱり俺はここでもモテるんだ」と受け取ってしまいやすい。これが危ないのです。
公安部の部内講習でも、昔から教官が言っていたのはそこでした。
「お前らがそんなにモテるわけがない。向こうから寄ってきたら、まずスパイを疑え」疑って疑って、疑った結果、スパイの要素がなければ、その時点で初めて次に進めばいい。まずは疑うところから始めろ、ということです。
これは、かなり本質を突いています。ハニートラップに限らず、スパイに取り込まれやすい人というのは、「自分に都合のいい出来事」を疑わない人です。自分にとって心地良い現実を、そのまま信じてしまう人とも言えます。

