あいおいニッセイ同和損保が販売する「テレマティクス自動車保険」は、運転の挙動に点数が付き、安全運転の度合いを保険料に反映する保険だ。契約数は約220万件で、契約者の交通事故を20%減らすことに成功した。ユーザーはなぜこの保険を選ぶのか。『交通事故を20%減らした自動車保険 あいおいニッセイ同和損保のつながる保険物語』(プレジデント社)を書いたノンフィクション作家の野地秩嘉さんが、トヨタの最大ディーラーであるトヨタモビリティ東京を取材した――。
ドライブレコーダーで雨の夜の運転を記録している
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自動車ディーラーと保険ビジネス

トヨタモビリティ東京は世界最大規模の自動車販売会社で、従業員は7700名、販売店の数はレクサス店舗も加えると204カ所。2025年3月期の売上高は4572億円。年間6万台以上の新車、中古車を販売している。保険の契約数も代理店としては国内最大規模と言えるだろう。

同社は自動車販売店が行うすべてのビジネスをやっている。テレマティクス保険のようなコネクティッドデータを活用した自動車保険についても早い時期から採り入れてユーザーに提供してきた。国内自動車販売店の先駆けとして近未来型ビジネスに取り組んできた販売店だ。本稿ではテレマティクス保険を販売した自動車販売会社の担当者の話を紹介する。

まず、トヨタモビリティ東京の大田店に勤務する担当係長の大木信二の話だ。大田店は環状7号線に面して位置している。自動車販売店がいくつもある競争の激しい立地の代理店だ。大木はその店でトップに近い成績を上げてきた。

今やクルマだけを売っているわけではない

大木はトヨタモビリティ東京の前身、トヨタ東京カローラに入社した。2019年、東京にあるトヨタ系販売会社5社が合併、その後はトヨタモビリティ東京の勤務となる。販売店勤務は3店目だ。大木は自動車の新車を売り、同時にバリューチェーンと呼ばれる保険、携帯電話の契約を進めてきた。

トヨタの販売店は携帯電話も売っているのですか?

彼は「はい、そうなんです」と言った。

「auのスマホ、携帯電話を売っています。auショップだと待ち時間が長いけれど、うちだと待つことはまずありません。駐車場もありますし、お客さまのニーズはあるんです。すぐに対応できますから、便利だとおっしゃってくれるお客さまは大勢いらっしゃいます。普通の携帯電話ショップだと予約が必要ですが、うちはその場で対応できます。スマホの値段も携帯ショップと同じです。

2000年頃からビジネスの内容が変わった

自動車販売会社としては少子高齢化もありますし、新車の売り上げだけでは成長していけません。保険の収益、携帯電話の収益などのバリューチェーンがこれからさらに大きな部分を占めていくのです。うちの社員は全員、お客さまには必ず保険を勧めるようにしています。バリューチェーンのなかでは保険とサービスのメンテナンスが大きいからです。サービスとは車検、点検、へこみなどに対する板金修理のことです。

私が勤務している大田店で車を買った人の数は約3000人弱。ただ、同じ会社でも規模が大きい店の顧客の数は5000人、6000人になります。年間で6万台を売り、保険契約は22万7000件といったところです。この傾向はかなり以前からのことですね。

入社してから二十数年経ちますが、当時の営業マンは新車だけを売っていました。車と保険、サービスの担当は別だったのです。かつては分業制でしたが、その後変わっていき、新車の営業マンが車だけでなくサービスや保険までを対応していくようになったのです。変わり目は2000年くらいからだと思います。