先進国の学力は過去最低、日本が首位に
経済協力開発機構(OECD)が9月8日に発表した2025年の学習到達度調査(PISA)で、OECD加盟国の15歳の平均成績は「科学コンピテンシー」「数学的リテラシー」「読解力」の3分野すべてで過去最低を記録した。
その中で、日本は3分野すべてにおいてOECD加盟国で首位に立った。3分野そろっての首位は調査開始から初めてのことだ。なお、日本より上位にいるのは、シンガポールや中国、台湾など、OECDに加盟していない東アジアの国・地域だけである。
対照的なのが、かつて「学力世界一」ともてはやされたフィンランドである。今回は数学で22位、読解力で16位にとどまっており、「凋落」と言ってもいい状況にある。
日本とフィンランドの明暗を分けたものは、いったい何だったのか。
イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」紙(以下、FT)は、今回の結果を分析し、基礎知識の習得を軽視する教育の流行に乗った国ほど長期的な学力低下が顕著だと指摘している。
いわゆる「フィンランド式教育」は、遊びや自分で調べることなどを通じた学びやテストの削減といった手法で称賛されて、日本でもブームになるほどの人気だった。フィンランドの2006年以降の成績の落ち込みは3教科すべてで先進国最大である。
ちなみに、1990年代のスウェーデンのゆとり教育、2010年に英スコットランドが導入した新カリキュラムも、その後の学力低下の要因とされている。
「貯金」を使い果たしたフィンランド
筆者はこれまで「フィンランド式教育」については、学力低下を加速させる可能性があると何度も警鐘を鳴らしてきた。
※ダイヤモンドオンライン「『フィンランド式教育』は日本に必要か?本国は数学の学力が深刻低下」(2022年5月29日)
プレジデントオンライン「九九を暗唱させる『日本式』は間違っていなかった…『世界一の教育大国』で学力崩壊が進んでいる納得の理由」(2026年3月15日)
フィンランドが2000年代に好成績を収めた背景には、自主性重視へ舵を切る以前に身につけた「暗記重視」の基礎学力の蓄積が反映されていた可能性がある。その貯金が次第に薄れた結果が表れたのではないだろうか。
日本もフィンランドと同じ道を歩みかけている。「ゆとり教育」のもとで2003年と2006年のPISAで順位を落とし、「PISAショック」と呼ばれた。だが日本はこのショックを受けて学力重視へと舵を切り直し、2008年の学習指導要領改訂では授業時間と学習内容が増やされた。2009年には成績が回復し始めている。
日本は引き返し、フィンランドは引き返さなかった。この違いが、20年後の明暗の一因となって表れた可能性がある。


