輸入制限で中国の「誇り」が消滅する
もし中国が、政治的な対立などを理由に日本を罰しようと、日本がこれら3つの先端素材の輸出を制限したらどうなるか。中国経済にとって、それはやぶへびであり、即座に壊滅的な事態に陥ります。
具体的に言えば、日本の「魔法のインク」と「スーパー洗剤」が届かなくなった瞬間、中国最大の半導体受託製造企業であるSMIC(中芯国際集成電路製造)の工場は稼働を停止せざるを得なくなるでしょう。そうなれば、ファーウェイ(Huawei)が誇る最新スマホも、バイドゥ(Baidu)が開発するAI用チップも製造できなくなります。
さらに、「曲がるスーパープラスチック」がなければ、中国最大のディスプレイメーカーであるBOE(京東方科技集団)は、シャオミ(Xiaomi)やオッポ(OPPO)向けの折りたたみスマホ用画面を作れなくなります。
中国が国家の誇りとして巨額の資金を注ぎ込んでいるEV産業も、制御用の半導体やディスプレイが枯渇すれば、生産ラインはほぼ完全凍結の状態になるでしょう。迂闊に日本にダメージを与えようとすると、中国は自国のIT、通信、EV産業の首を自ら絞めることになるのです。
覇権主義とサイバー攻撃の裏にある「焦り」
日本に急所を完全に押さえられている中国ですが、ただおとなしくしているわけではありません。むしろ、その焦りの裏返しとして、日本に対して覇権主義的な野心を剥き出しにしています。
尖閣諸島周辺への公船の絶え間ない侵入や、台湾有事を念頭に置いた大規模な軍事演習など、物理的な威圧を強めています。さらに深刻なのは、目に見えない空間での攻撃です。日本の防衛産業、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、そして先端技術を持つ企業群に対して、中国の国家的な関与が疑われる高度なサイバー攻撃が日常的に仕掛けられています[4]。
彼らは、正面からの経済戦争では勝てない(自滅する)と分かっているからこそ、ネットワークを通じて日本の機密情報や先端技術を盗み出し、なんとかこの「手も足も出ない」状況を打破しようと必死にもがいているのです。


