氷点下20度でもニット帽は被れない

ビタミン不足で兵士は病気になりやすい。水のボトルはみんなで回し飲みするので、風邪はすぐに蔓延する。

日本で一度もコロナに罹患しなかった僕が、戦地で4回もコロナに罹った。高熱でうなされ、体中の関節が痛い。息苦しさを感じて味覚もなくなった。だが、病気になっても戦いは終わらない。熱があるからと戦わずして殺されることを選ぶか、銃を握って戦うか。戦場では体調が優れているときなどない。

金子大作『ロシア軍の日本人兵士 最強の特殊部隊「アフマット」で見た地獄』(講談社)
金子大作『ロシア軍の日本人兵士 最強の特殊部隊「アフマット」で見た地獄』(講談社)

氷点下20度まで気温が下がる冬場は、耳がちぎれそうな痛さを我慢して戦っている。ニットで耳を塞ぐと迫撃砲弾の飛来音やドローンの飛行音を拾えない。足のつま先の感覚もない。この季節の雪や雨は地獄だ。服や靴、靴下が濡れて、乾き切るまで3〜4日は掛かる。

冬場は森の木々の葉が散り、ドローンから丸見えになってカミカゼが兵士に向かって森に突っ込んでくる。雪が積もれば行軍速度も著しく低下する。敵には足跡を追われ、雪のせいで腰も下ろせない。

そして、戦闘が始まると、今度は極限の緊張状態が体温を上げる。防寒着のなかのインナーが汗で濡れて、動きを止めるとそれが凍り始める。解決法は、ロンTとアウターのみを着用することだ。極寒に耐えられる体質に自分自身を変えるしかない。

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