適性のある人物にいきなり権力を与えない
「統率が大事」ということは共通である一方、アメリカのリーダー観というのは、日本の部活カルチャーとは、本質的な部分で違いがあります。リーダーシップをどう発揮していくのか、またどんなスキルが必要かという面では、まったく違うと言ってもいいでしょう。
まず、リーダーをどうやって選ぶかですが、たとえばバスケやサッカーなどの得点王は、あまり選ばれません。タイムを競う水泳や陸上の場合も、最高のタイムを出して対外試合で活躍する選手は、キャプテンにしないことが多いのです。
そうではなくて、実力では2番手グループの上級生から、リーダー適性のある人物を選びます。その上で、リーダーには、いきなり権力を与えることはしません。そうではなくて、まず「権威を身につける動作」を覚えさせます。
具体的には、後輩の抱える悩みや技術的な迷いなどに対して、的確で丁寧なアドバイスをできるように、姿勢や話し方を身につけさせたり、積極的にポジティブな言葉かけをさせたりするのです。
そのようにして、リーダーこそ、部員への最大の支援者として無償の奉仕を心がけつつ、全体に目を配るという「管理監督の基礎」について教えるのです。
練習後のグラウンド整備は監督と主将
多くのアメリカの高校では、練習が終わったあとにトンボを引く(グラウンド整備をする)のは監督とキャプテンで、下級生を含めた部員はさっさと帰宅します。
また、好調な選手は基本的に放任ですが、不調に陥った選手にはキャプテンが寄り添って技術指導をしたり、モチベーションを支える支援をしたりします。
昭和的な「スポ根」思想からすると、生ぬるいという印象になるかもしれませんが、そうではないのです。なぜかというと、こうしたカルチャーの背景にあるのは、強固なひとつの思想だからです。
それは、「リーダーシップの目的は、全体が最大のパフォーマンスを発揮することであり、その目的に至る手段は、全員の自発的なモチベーションを引き出すことだ」というものです。上に立つ者が率先して雑用をするとか、弱い者への丁寧な指導を優先するというのは、こうした思想からきているのです。
そして、このような考え方の実践として、高校の部活で、あるいは生徒会などで「リーダーシップを経験し、さらに経験を通じてプラスアルファの学びをした人材」を評価するのです。

