原発を捨てなかった「日本の強み」

東京電力の発表によれば、柏崎刈羽原発6号機は2026年4月16日午後4時、原子力規制委員会の、使用前事業者検査に係る使用前確認証などを受けて営業運転を再開した。資源エネルギー庁も2026年5月12日の解説で、同日を営業運転開始日としている。原発再稼働は、安全審査、地域の信頼、避難計画を前提に進めるべき重い政策である。

日本の課題も明確だ。老朽火力への依存、送電網の制約、地域間連系線の弱さ、原発再稼働をめぐる地域合意、住宅断熱の遅れは残る。エアコンの普及率が高いことは強みだが、電力供給が揺らげば、その強みは弱点に反転する。だからこそ、冷房使用を呼びかけられる電源構成と供給余力が必要である。

日本の教訓は、他国との優劣より、自国の弱点を先に手当てすることにある。高いエアコン普及率を持つ国ほど、夏の電力供給が揺らいだ時の社会的損害は大きくなる。猛暑の日に「節電」と「ためらわない冷房使用」を同時に求める社会では、電源の余力そのものが命を守る条件になる。

「原発か再エネか」は答えにならない

ドイツの教訓は、環境政策に安全保障の発想を組み込む必要性にある。再エネ拡大も、省エネも、受動的冷却も必要である。問題は、脱炭素を進める過程で、危機時の電源、燃料、冷房、医療、産業を守る冗長性を削りすぎることだ。脱炭素と脱脆弱性は、同時に追求してこそ意味を持つ。

太陽光パネル・風車
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ドイツの経験は、遠い国の教訓では終わらない。電源の余力を削り、冷房を支える供給力を軽く見れば、日本でも似た構図は生まれる。

問われているのは、原発か再エネかという単純な二択ではない。猛暑の日に、病院、工場、家庭の冷房を止めないだけの余力を、日本が持ち続けられるかである。そのためには、安全性を大前提にした原発、再エネ、過渡期の火力、蓄電池、揚水発電、送電網、需要応答、省エネ型エアコン、住宅断熱、冷房支援を組み合わせる必要がある。医療・介護施設やデータセンターの電力リスク管理も同じ線上にある。

その際、冗長性は「古い設備の温存」を超える概念として捉える必要がある。デジタル制御による需要応答や分散型電源もまた、新しい冗長性である。原発再稼働もその一部であり、単独の切り札ではなく、危機時に使える手札を増やす政策として考える必要がある。

経済安全保障とは、平時の効率と危機時の代替手段を織り込んで国を設計する発想である。燃料供給が止まる、風が弱まる、熱波が来る、価格が跳ね上がる。そうした時にも、家庭のエアコン、病院の空調、工場の操業を支える代替手段を残す。

猛暑時代の国家の強さは、危機の前に国民を守る余力をどこまで残せるかで決まる。

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