ドライバー視点で工場を作れれば…
一方で、物流革新政策では「物流の現場における経験値を基に、改善や変革を推進できる人材」の不足が、看過しがたい課題になりつつある。
象徴的なのは、法律で特定荷主に課される「CLO」(Chief Logistics Officer、物流統括管理者)という役員の選任義務である。当然、荷主内においてはCLO1人で改善・変革活動を行えるわけがなく、物流現場に明るいメンバーを揃えたチーム作りが必須となる。しかしふさわしい人材がおらず、多くの特定荷主では苦労しているのだ。
インタビュー中、ある参加者から「工場を作るとき、ドライバーもプロジェクトに参加させればいいのに」という意見が出た。
荷役作業がしやすいバースや待機場所の設計といった観点において、ドライバーがアドバイスできる点は少なくないだろう。この参加者は、これを指摘したのだ。
未来が見えない仕事に若手は就かない
持続可能な物流を維持するためには、若手ドライバーが増えなければならない。自動運転トラックがどれだけ増えようが、すべてのトラックが自動運転化できるわけではないからだ。
しかし、今の若者は慎重だ。
キャリアパスの見えない職業に就くことを嫌がる人も少なくない。
筆者は20代のドライバーから、「自動運転トラックが実現したら、僕たちの仕事はどうなるんですか?」と聞かれたことがある。先輩ドライバーや会社の上司からは、「そのときには俺たち引退しているからな」とごまかされてしまったそうだ。
この答えをきちんと用意しない限り、ドライバーを志すのは「クルマの運転が好き」といった若者に限定されてしまう。
だからこそ、「ドライバーの次」を実現する、新たなキャリアパスの構築が必要なのだ。
そしてその有力な候補が、「ドライバーとして働いたことによって得た知見を活かす道」である。こういったキャリアは、物流改善や変革を推し進める荷主においても重宝されるはずだ。
ただし、ドライバーがすぐにこういったコンサルティングや事業企画系の職務に就くのは難しい。だからこそ、一般的なビジネス知識や論理的思考、分析能力などを身につけるカリキュラムを用意することは必須だし、これは業界を挙げて取り組むべきだ。
ドライバーが日々の業務をこなしながら得た知見は貴重である。
「若手ドライバーを確保する」という意義とは別に、物流のムリとムダを解消し、ひいては持続可能な物流を実現するため、こういった知見を活用する道を探ることも大切なはずだ。


