急増する「移住」の背景事情

現在、日本に住む中国人は約93万人と1県レベルの人口に膨れ上がっている。その先発隊は1980年代以降に来日した人々だ。留学や出稼ぎ目的の人が中心で、日中間に大きな経済格差があった時代だった。彼らの多くは日本で会社員として働いたり、一部は起業家として成功したりしているが、私が知る限り、ある程度は日本語ができ、金銭感覚も日本人と大差なく、地道に働いてきた。

しかし、コロナ禍の頃から、中国リスクを背景に、中国の財産を持ち出して日本に移住する富裕層が急増し始めた。彼らの移住サポートを担うようになったのが、日本社会を熟知していて、中国と日本の狭間に立つ在日中国人だ。

富裕層は「中国の感覚」で仕事を依頼してくるため、もし彼らとビジネスをすることができれば、相場が安い日本の仕事よりも高額な報酬を得ることができる。私のこれまでの著書でも紹介してきたが、彼らを対象として不動産、建築・リフォーム、教育、金融、飲食などの分野で、日本語が堪能な在日中国人は活躍の場を広げることができるというわけだ。

私の別の知人は、コロナ禍でインバウンドが減少し、経営が悪化していたが、中国からやってきた富裕層が投資してくれて、会社を存続できたと話していた。

「ゆるい日本でならできるでしょう?」

一方で、富裕層と組むことはリスクも伴う。問題になっている地下銀行の運営などもそうだが、中国から日本への送金や、中国で犯罪になるようなことを「ゆるい日本でならできるでしょう?」といって無理難題を持ち掛けられるケースもある。とくに、在留資格については、日本政府は昨年から審査を厳しくしており、今後、同様の犯罪が次々と摘発される可能性はかなりあると考えられる。

これまで日本人同様、まじめに働いてきたのに、富裕層から桁違いの報酬を提示され、汚い仕事を持ち掛けられて、その誘惑につい飛びついてしまう在日中国人もいる。

前述の知人は「SNSでいろいろなものが可視化されてしまう時代。彼は金持ちになって、周囲の中国人から相当妬まれていて、近しい中国人が警視庁に密告した可能性もありますよね。それに、今回の件で、日本メディアに載ってもいいことはない、むしろ、目立つからやめたほうがいいと思った人もいたのではないでしょうか。SNSで金持ち自慢を一切しない、日本社会との接点を持たない、というのが賢いやり方だと話している人もいます」と語ってくれた。

奇しくも「NHKスペシャル」への出演によって、犯罪の大きさ以上に注目されてしまった藍沢氏。第2、第3の藍沢は今後も出てくるのだろうか。

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