永住者、留学の次に多い在留資格
法務省のサイトなどによると、「技人国」とは自然科学、人文科学、外国文化などの専門知識を有する人に与えられる在留資格だ。具体的にはシステムエンジニア、国際業務、経理、貿易、マーケティング、通訳、デザイナー、教師などの職で、主にホワイトカラーの会社員が取得している。
在留中国人で最も多い在留資格は「永住者」で、次いで多いのは「留学」、その次が「技人国」で、25年末時点で約11万7000人に上る。日本に長年住み、今後も日本に住み続ける予定の中国人は最終的に「永住者」か「帰化」を選択することが多いが、それ以前に彼らが取得する、最もポピュラーな在留資格が「技人国」だ。
しかし、藍沢が入国させた女性は、日本で会社員として働くのではなく、藍沢の顧客のベビーシッターをしていた。ベビーシッターとして働くことができる外国人は「永住者」や日本人の配偶者などに限られるため、女性は「資格外活動」をしていたことになる。
むろん、それ自体、入管法違反という犯罪になり、雇用主も罰せられるが、私が在日中国人の知人から聞いた情報では、そのベビーシッターの入国を藍沢に依頼した雇用主のバックにいる人物の名前が、在日中国人社会で話題にのぼったらしい。
富裕層ビジネスの「旨味とリスク」
名前は伏せるが、1972年生まれの中国在住の男性で、教育ビジネスで名を馳せた「かなりの大物」だそうだ。不勉強で私は知らなかったのだが、知人はSNS上にあるその人の名前を私に見せて、「ほら、この人、中島さんも知っているでしょう?」と教えてくれた。中国版ウィキペディアのようなサイトでも紹介されている。
知人によれば、その男性の子どもが日本に9人いて、「富裕層の執事」を自称する藍沢はベビーシッターを中国から呼び寄せることを頼まれ、犯罪に手を染めたのではないかという。雇用主は日本に住む妻なのか、愛人なのかは不明だが、背景にはかなり大きな問題が隠されているといえそうだ。
このように、藍沢は富裕層ビジネスを行っていたわけだが、知人は「藍沢事件が在日中国人社会に与えた教訓は大きい」と話す。それは「富裕層ビジネスの旨味とリスクを在日中国人が改めて痛感させられたことにある」という。旨味とは、富裕層とのビジネスで自身も富裕層へとのし上がることができるという点だ。

