自称「富裕層の執事」の経歴とは

放送直後の反響は大きく、日本のSNSでも話題になったが、私が知るかぎり、在日中国人の間での評判は芳しくなかった。「あれは『潤日の肖像』ではなく、『潤日で金儲けをする中国人の肖像』でしょう? ごく一握りの在日中国人をあのように取り上げることで、まるで在日中国人社会全体で起きていることのように日本人に誤解されると思うととても残念。違和感しかない」と語る人が多かった。

私の知人によると、藍沢は小学生の頃に両親とともに来日しており、日本在住歴は30年に及ぶ。日本語はペラペラで、日本企業で働いた経験もあるらしいが、詳しい経歴はわかっていない。近年は「中国人富裕層の執事」と自ら名乗り、日本語が不自由な富裕層の行政手続きやゴミの捨て方などまでサポートし、羽振りのいい商売をしていたようだ。彼のSNSによれば、10億円以上の資産を持つ富裕層の顧客を50人持っていたという。

藍沢鵬程容疑者のSNSより
藍沢鵬程被告のSNSより

「技人国」ビザで不正入国させたか

私が知人から見せてもらった彼の名刺には中国のブロックチェーン投資機関の日本代表とあり、名前は本名の「王鵬程」と書かれていた。住所は東京・港区だった(現在、その名刺にあるホームページを検索しても存在しない)。

だが、知人が藍沢に用事があってたずねたオフィスは同荒川区のシェアオフィスのような狭いところだったそうだ。富裕層ビジネス、ブロックチェーン、その他、中国からの移住者を対象にさまざまな商売を行い、複数の名刺を使い分けて、私腹を肥やしていたのかもしれない。

報道によると、藍沢が逮捕されたのは、2023年5月、中国にいる女性の学歴や勤務先を偽って「技術・人文知識・国際業務」(「技人国」)の在留資格を申請し、日本に入国させたというものだ。同女性は今年4月に逮捕、その後起訴されているが、昨年末から警視庁に匿名の情報が寄せられ、捜査されていたという。藍沢は当然、そのことを知っていたはずだが、それなのにNHKの取材を引き受けたのは「自分にまで捜査が及ぶことはない」とたかをくくっていたのだろうか。

日本人や在日中国人の紹介なのか、あるいは、NHKが自ら彼を「適切な取材対象者」として探し出してきたのかは不明だが、NHKは藍沢の“身体検査”を怠ったまま彼を主要な登場人物として番組内で取り上げた。事件後、NHKはすぐに同番組のネット配信をストップさせたことから、局内で動揺が広がったことは確かだろう。