姿勢が持つ重要性を侮らない

長時間座って過ごす人にとって、姿勢の崩れはよくある悩みだ。しかしパッカードは、姿勢は単に見た目の問題にとどまらず、呼吸や身体の安定性、動きそのものに影響を与えると話す。

ただ肩を後ろに引くのではなく、肋骨全体で呼吸することを意識すれば、自然と正しい姿勢が身につくという。

「足の裏の3点(かかと、親指の付け根、小指の付け根)に均等に体重が乗っているのを感じ、膝は突っ張らずに少し緩める。そして、耳から肩、股関節へと一直線が通っているところをイメージしてほしい」とパッカードはアドバイスする。

「肋骨と骨盤が上下にきれいに重なると、横隔膜と骨盤底筋が、まるで2つの器が呼吸に合わせて連動するように、うまく機能するようになる」

怪我を予防するための理学療法

理学療法は、怪我をしてから受けるものだけではない。定期的に身体のメンテナンスを行うことで、大きなトラブルに発展する前に運動機能の課題を見つけることができる。

パッカードはこれを身体の「チューンアップ(調整)」と表現する。痛みが引き起こされる前に、可動性を維持し、身体の癖を修正できるからだ。

おすすめエクササイズ

パッカードは、シンプルなルーティンを提案している。大切なのは、各エクササイズの負荷がかかる瞬間に息を吐き、体幹と骨盤底筋を連動させることだ。

1.360度呼吸(1分間):背筋を伸ばして座るか立ち、両手を肋骨に当てる。肋骨が前後左右に広がるのを感じながら呼吸する。これが、他のすべての動きを正しく機能させるためのリセットとなる。

2.スクワット(10回):下半身の最も基本的な動作パターン。これを正しく行うことで、股関節、体幹、そして呼吸がすべて連動するようになる。

3.ヒンジ(10回):自重または軽い負荷で行うデッドリフトやルーマニアンデッドリフト。上体を起こした位置で息を吐く。これにより、日常生活で物を持ち上げるあらゆる動作に直結する身体の後面の筋肉が鍛えられる。

4.オーバーヘッドプレス(10回):ダンベルやレジスタンスバンドを使用する。腕を上に押し出すときに息を吐く。負荷がかかった状態でも体幹を安定させる力を養いながら、肩と上半身の筋力を鍛える。

5.ステップアップ(左右各8回):階段や低い踏み台を使用する。片脚ずつの筋力こそ、実際の身体の動きそのものだ。歩くとき、階段を上るとき、バランスを崩しかけて踏みとどまるとき、私たちは常に片脚の力を使っている。

6.バードドッグ(左右各8回):ゆっくりとコントロールしながら動く。バードドッグは、肋骨と骨盤を支える体幹の深い部分の安定性を高める。これにより、身体にかかる圧力をコントロールし、ブレない軸を作ることができる。

呼吸こそが筋力、可動性、そして安定性を一つに結びつける土台であるとパッカードは言う。「40代の人の多くは、もっとハードにトレーニングしなければと思いがちだ。しかし本当に必要なのは、身体を適切に動かすことであり、それは呼吸法から始まる」

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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