創造力は育むにはどうすればいいか。昔ばなし研究者の沼賀美奈子さんは「スイスの昔ばなし研究者マックス・リュティは、昔ばなしは、背景や心理描写を語らないことで、物語の骨格だけがくっきり浮かび上がる、と分析している。説明がないからこそ、子どもは耳から入った言葉を、瞬時に自分の頭の中で映像化しなければならない」という――。

※本稿は、沼賀美奈子『昔ばなしの魔法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

椅子の上で考えている女の子
写真=iStock.com/kokoroyuki
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自分の中にイメージがなくても時間が過ぎる

雨の日の午後。ゲームの時間はもう終わり。

「はい、もうおしまい」とタブレットを取り上げた瞬間、子どもが不機嫌そうに叫びます。

「えー、ひまだー! 何すればいいの?」

「絵でも描いたら?」と提案しても、「何を描けばいいかわかんない」。

「ブロックは?」「めんどくさい」。

結局、ソファーでゴロゴロしながら「ねえ、テレビ見ていい?」をくり返すだけ……。

そんな姿を見て、モヤモヤしたことはありませんか?

この子は、与えられた映像がないと、自分で時間を過ごすこともできないの?

自分の「これやりたい!」という意思がないんじゃない?

これは、子どもの性格のせいではありません。

現代の環境が、視覚優位になりすぎているからです。動画やゲームは、完成された世界を一方的に与えてくれます。キャラクターの服のしわ、背景の雲の動きまで、すべてが完璧に描かれています。

子どもはそれを受け取るだけで楽しめますが、その代償として、「自分の中にイメージがなくても時間が過ぎてしまう」経験が増えます。

ゼロからイチを生み出す、手持ちぶさたで退屈な時間が奪われていること。これが、創造性の芽を摘んでいるのです。