子供の考える力を伸ばすにはどうすればいいか。昔ばなし研究者の沼賀美奈子さんは「スマホやAIにより問いから答えまでの距離が短い今の時代は、自分で意味を見つける力も、試しながら理解する力も、少しずつ弱ってしまう。限られた情報から、考える力である推論のプロセスを取り戻すのに、昔ばなしはとてもよい素材になる」という――。

※本稿は、沼賀美奈子『昔ばなしの魔法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

二羽の鶴
写真=iStock.com/USO
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問いから答えまでの距離が短い現代

リビングで、子どもがふと、つぶやきました。

「ねえ、なんで空って青いの?」

素敵な問いかけです。でも、その次の瞬間、スマホを取り出し

「空はなんで青いの?」

AIが即答します。

「太陽の光が散乱して……」

子どもは画面も見ずに言います。

「へー、そうなんだ」

そして、すぐにゲームに戻ってしまう。

その背中を見ながら、ふと、言いようのない不安に襲われるのも当然です。

「あれ? この子、本当に理解してんの?」
「わかったつもりになってない?」

現代の親が抱える、よくある不安です。

わからないことがあっても、今は0秒で答えが出ます。

便利です。とても便利です。

けれど、その便利さの中では、「これって、どういうことだろう?」と首をひねる時間も、「もしかして、こうかな?」と仮説を立てる時間も、すっと消えてしまいます。

問いから答えまでの距離が、あまりにも短くなってしまっているのです。