子供の考える力を伸ばすにはどうすればいいか。昔ばなし研究者の沼賀美奈子さんは「スマホやAIにより問いから答えまでの距離が短い今の時代は、自分で意味を見つける力も、試しながら理解する力も、少しずつ弱ってしまう。限られた情報から、考える力である推論のプロセスを取り戻すのに、昔ばなしはとてもよい素材になる」という――。
※本稿は、沼賀美奈子『昔ばなしの魔法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
問いから答えまでの距離が短い現代
リビングで、子どもがふと、つぶやきました。
「ねえ、なんで空って青いの?」
素敵な問いかけです。でも、その次の瞬間、スマホを取り出し
「空はなんで青いの?」
AIが即答します。
「太陽の光が散乱して……」
子どもは画面も見ずに言います。
「へー、そうなんだ」
そして、すぐにゲームに戻ってしまう。
その背中を見ながら、ふと、言いようのない不安に襲われるのも当然です。
「あれ? この子、本当に理解してんの?」
「わかったつもりになってない?」
現代の親が抱える、よくある不安です。
わからないことがあっても、今は0秒で答えが出ます。
便利です。とても便利です。
けれど、その便利さの中では、「これって、どういうことだろう?」と首をひねる時間も、「もしかして、こうかな?」と仮説を立てる時間も、すっと消えてしまいます。
問いから答えまでの距離が、あまりにも短くなってしまっているのです。

