「初任給60万円」「平均年収1750万円」の注目企業
私が新たな銘柄を探す際には、企業の増配などの還元策が、株価の上昇スピードに追いついているかという点に着目しています。
例えば、商業施設事業者に対する土地の長期貸し出しを主力事業としている東証プライム上場の「地主株式会社」も注目している企業のひとつです。
社員100人超という少数精鋭で、2025年12月期の決算では、売上高763億円、純利益73億円と5期連続の増益を達成しています。
「初任給60万円」、「平均年収1750万円」とメディアの注目を集めましたから、ご存知の人もいるかもしれません。
この企業は、現在の株価水準でも約4.1%の配当利回りを維持しています。
過去のチャートと比較すると、現在の株価は高値圏にありますが、これは業績の拡大に応じて株主還元を着実に増やしている結果といえます。
通常、好業績を背景に株価が上昇すれば、相対的に配当利回りは低下しますが、業績の向上と還元額の増加が同時に進むことで、株価が上がっても、好利回りが維持されるという投資家にとって非常に理想的なサイクルが形成されているのです。
同社の株を1000円や2000円で取得した人であれば、現在の取得利回り(1株配÷取得価格×100)は高い水準にあります。
この企業には、十分に成長余地があるため、急いで株を売却する必要もなく、長く持ち続けることで、さらに多くの恩恵を享受できる可能性を秘めています。
企業の成長に伴って、株価と配当の「両取り」を狙える銘柄を持ち続けることが、私の考える質の高い配当株投資の姿といえます。
まだ注目されていない「優良株」の探し方
数年前までは、本来の企業価値に対して、株価が割安なまま放置されている銘柄が数多く存在していましたが、現在では多くの企業が株主還元の意識を高めているため、割安な状態で市場に埋もれているような銘柄は少なくなっています。
現在の投資環境は、あらゆる銘柄が調べ尽くされているため、「隠れた有望銘柄」を見つけ出すことは、困難を極める状況にあると考える必要があります。
私が三菱UFJや三菱商事の株を積極的に買い進めた15年くらい前は、銀行株や総合商社株は人気がなく、そんな大型株を購入しても、株価が上がるはずがないという見方が多かったように思います。
私が着目したのは、企業の「稼ぐチカラ」や「働いている人たちの優秀さ」といったビジネスの基本的な要素です。
株価が上がっていないのは、単なる現象に過ぎず、企業の実態を考えれば、投資を控える理由は何一つないと考えていました。
その当時は、現在ほど「資本の累積」という側面が注目されておらず、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んでいるような状態に対して、魅力を感じる人もほとんどいませんでした。
現在では、企業のPBRが重要な情報価値を持つようになって、市場の価値判断の基準そのものが大きく変化しています。
私に際立った洞察力があったわけではなく、「普通に考えれば、当然、そうなるだろう」くらいの感覚で捉えています。
現在のような投資環境で新たな優良株を発掘するためには、生活者としての自分の感覚を大事にして、株式市場の動向を俯瞰の目で観察し続けることが、一番の手がかりになると思います。

