万能で、最も人気のある家電
2008年7月にアップルがiPhone 3Gを発売したことで、スマートフォンの普及がスタートしました。日本では2000年頃からiモードをはじめとする高性能携帯電話が普及しており、多くの人が写真撮影やメール、アプリ、ゲームなどを楽しんできました。
端末メーカーもカメラ機能やワンセグテレビ、タッチ決済機能などさまざまな機能を進化させてきましたが、スマートフォンの進化はそれにとどまらないものでした。
大画面テレビが10万円を切る価格で購入できる時代に、スマートフォンは20万円を超える製品もザラにあります。毎日肌身離さず持ち歩いて活用する機器なだけに、消費者の興味関心も高く、最も人気のある家電製品と言えるまでになりました。
そんな中で割を食う形になったのが、そのほかのデジタル家電です。特に大きいのはデジタルカメラとデジタルビデオカメラです。
デジタルカメラの総出荷台数は2010年の1億2146万3234台をピークに減少を続けており、2025年には943万8876台と、最盛期の8%程度にまで落ち込んでいます(CIPA:一般社団法人カメラ映像機器工業会調べ)。
ビデオカメラも2012年の186万1000台をピークに減少し、2024年には約4万台と、こちらも最盛期の2%程度です。(JEITA:一般社団法人電子情報技術産業協会調べ)
スマートフォンのカメラは進化を続けています。単純に画素数が増えただけでなく、高い処理能力を活用してAIによる高画質化機能なども備えているため、一般的なデジタルカメラやデジタルビデオカメラでは太刀打ちできない状況になっています。
スマホに侵食される映像・録画機器
筆者も取材の撮影にはデジタル一眼レフカメラやデジタルミラーレス一眼カメラを使用してきました。しかし暗い場所では明るい部分が白飛びしてしまったり、逆に暗い部分がつぶれてしまったりと、うまく撮影するのが難しい状況があります。
そんな環境でもスマートフォンのカメラはうまく修正してくれるので、いよいよ仕事においても使う機会が増えてきています。高級スマートフォンはレンズを3つ、4つ搭載しており、ズーム撮影のようなことも行えるため、デジタルカメラやデジタルビデオカメラが活躍する機会はほとんどなくなってしまったのです。
テレビ番組を録画するレコーダーなども同様です。テレビ自体に録画機能を搭載するようになったのも背景の一つにはありますが、動画配信サービスの普及や、民放テレビを中心に視聴できるTVer(ティーバー)やNHKの放送を視聴できるNHK+などのアプリの普及が進んだこともあって、テレビを録画して見るという文化が廃れてきたのもあるのでしょう。
BDレコーダー・プレーヤーの販売台数は2011年の678万9000台をピークに減少し、2025年には約66万台まで落ち込んでいます(JEITA調べ)。カメラのように完全にバッティングしているわけではないものの、コンテンツを手軽に見られるスマートフォン普及の影響は大きいのではないでしょうか。

